住宅の構造は大きく分けて「木造(W)・鉄骨造(S)・鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)」の4つです。
しかし、工法となるとハウスメーカーが独自に名前を付けたりもするので「何がなんだか分からない」という方も多いのではないでしょうか?(構造と工法を一緒に考えると混乱しやすいですね)
実際に木造にもハウスメーカーで使われる工法はいくつかあり、そこを一括りに木造住宅でまとめてしまうと「??」となります。
そこで今回は構造に囚われず「住宅の工法に焦点を当てて」順番に解説していきましょう。
木造軸組工法(在来工法)
軸組工法とは、柱に梁などの横架材を組み合わせて主要構造体とする工法です。
また、在来工法とも呼ばれることから「古くから日本で採用されてきた工法」でもあります。
但し、今では使用する木材にホゾやホゾ穴を作り、凹凸を組み合わせるようなことは少なくなっており、次の金物工法が一般的になってきています。
金物工法
金物工法は、柱や梁などの繋ぎの部分(仕口や継手)の加工を金物に置き換えた工法です。
接合部の断面欠損も少ないことから高い強度の構造体にすることが可能で、施工性にも優れています。
また、ドリフトピンを使用した場合の名称は「ピン工法」と呼ぶ場合もあります。

木造ラーメン工法
参照元:住友林業
ラーメンとは「額縁」という意味で、柱や梁を剛接合する工法をいいます。
先の軸組工法では筋交い(ブレース)を入れますが、ラーメン工法では筋交いはありません。
そのため使用する柱や梁の強度が求められるので、従来は鉄骨造等で採用されていました。
しかし、住友林業のBF(ビッグフレーム)構法など「木造でもラーメン工法を採用する」建築会社が現在では増えています。
木造トラス工法
トラスとは、三角形を組み合わせて構成される骨組み構造のことです。
従来の軸組工法のように梁などのメインとなる骨組みが無くても、三角形を組み合わせていくことで広い空間を実現することが可能です。
また、三角形は接点が外れない限り「外部から圧力が加わっても変形しない」ので、高い強度を保つ工法と言えます。
2×4工法(枠組壁工法)
2×4(ツーバーフォー)工法は、断面2インチ×4インチの木材で造った枠組みに、構造用合板を釘打ちしてパネルにしたものを耐力壁とする工法です。
特徴として、面で強度を維持する構造であるため耐震性に優れています。
その反面、壁で強度を維持する構造なので開口部に制約があり、在来工法に比べてリフォームや改築などの自由度は下がります。
2×6工法
参照元:三井ホーム
2×6(ツーバイシックス)工法は、2インチ×6インチのパネルを耐力壁とします。
気になるのは2×4との違いですが、4インチから6インチにサイズアップすることで断熱材を多く入れることが出来ます。

ハイブリッド工法
参照元:桧家住宅
2×4工法と軸組工法を掛け合わせて、桧家住宅では「ハイブリッド工法」と呼んでいます。
しかし、軸組工法に金物を使う工法を「ハイブリッド工法」と呼んでいるメーカーもあるので、定義があるわけではなさそうです。
ログハウス工法
参照元:TALO
ログハウス工法とは、ログ(丸太材)を積み上げて壁を造作する工法です。
昭和61年に技術基準が国土交通省の告示により定められ一般工法として認められました。

ここまで木造を中心に解説してきましたが、意外と種類があったと思います。
この中で「軸組工法・壁工法・ラーメン工法」の3つは、この後も出て来ますので覚えておいて下さい。
プレハブ工法
プレハブ工法とは、部材を工場で生産加工して現場で組み立てていく工法です。
部材を工場で作成するので品質に関しては安定感がありますが、現場ごとの微細な寸法調整に対応することは困難とされています。
構造材料の種類により「木質系・鉄骨系・コンクリート系」に分類され、構造形式などにより「パネル工法・ユニット工法」に分かれます。
パネル工法
参照元:ミサワホーム
パネル工法は「パネル」を工場で生産します。
2×4工法と同様に壁で家を支える構造になりますが、使用する部材が違います。
例えば、ミサワホームでは「木質パネル工法」を採用していますが、上記のように板を接着剤で貼り付けていきます。
ユニット工法
参照元:セキスイハイム
ユニット工法は「ボックス工法」ともいいます。
ユニット工法は「工場で生産したユニット(箱)を現場で組み立てていく工法」となるので、運搬に制約があります。

鉄骨造
よく鉄骨系ハウスメーカーと言われますが、鉄骨造は「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分かれます。
個人的にこの2つを一括りに「鉄骨造」と言うのは、建築に馴染みのない方に対して不親切だと思います。(全然違うので)
ここでは少し工法から外れますが「軽量鉄骨と重量鉄骨の違い」について解説していきます。
軽量鉄骨造
参照元:トヨタホーム
軽量鉄骨造では「厚さ6ミリ以下の鉄骨材」を使用しています。
法定耐用年数は19年(鉄骨3ミリ以下)もしくは27年(鉄骨3~4ミリ以下)で、よく一般住宅やアパートで採用されます。
軽量鉄骨造の工法は「軸組工法・パネル工法」が一般的となります。

重量鉄骨造
重量鉄骨造では「厚さ6ミリ以上の鉄骨材」を使用しています。
法定耐用年数は34年で、一般的にビルやマンションで採用されることが多いです。
重量鉄骨造の工法は「ラーメン工法」が一般的です。
重量鉄骨造を採用しているハウスメーカーは少ないので、地域の建築会社で相談した方が良いと思います。
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造とは、柱・梁・壁・床として組み上げた鉄筋にコンクリートを打って骨組みを構成する工法のことです。
鉄筋とコンクリートは、それぞれの欠点を補完し合います。
- 「鉄筋の性質」…引っ張りに強く圧縮に弱い。サビや熱に弱い
- 「コンクリートの性質」…引っ張りに弱く圧縮に強い。アルカリ性
鉄筋コンクリート造では「ラーメン工法」と「壁式工法」が採用されます。

ラーメン工法と壁式工法の違い
参照元:パルコン
ラーメン工法は、柱や梁の接点を剛接合した構造なので「間取りの自由度が高い」のですが、柱や梁が室内に影響を与える(柱が室内に入り込む)ことがあります。
逆に、壁式工法は柱や梁が無いので「室内が広く」感じられますが、壁で強度を持たせているので壁を取り壊すような改築や増築には向きません。
柱や梁(骨組み)で支えるのか? 壁で支えるのか?

鉄筋鉄骨コンクリート造
鉄骨鉄筋コンクリート造とは「鉄骨の周囲に鉄筋を組み上げてコンクリートを打って骨組を構成させる」工法です。
鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の3つは字面が似ていますが、構成はまったく違います。
参照元:三菱UFJ不動産販売
また、鉄骨鉄筋コンクリート造の工法は「ラーメン工法」になります。
主にビルやマンションなどで採用され、一般住宅ではSRC造はあまり見かけません。
まとめ
今回は住宅の工法について「とくに重要なもの」は、しっかりとお伝えできたと思います。
以下ポイントをおさらいすると、
- 「軸組と壁」「軸組とラーメン(ブレースの有無)」の違いを抑えると整理出来る
- 鉄骨造には「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」がある
- プレハブ工法はマイナー感があるものの、ハウスメーカーの多くがプレハブ工法に当てはまる
- ハイブリッド工法など「複数の工法を合わせた」ハウスメーカー独自の工法が登場している
住宅の工法が分かると各ハウスメーカーの売りも分かりやすくなるので是非参考にして下さい。
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