今日は売買の担当者から「新築の戸建なんだけど売却か賃貸かお客様がいる」ということで私も同席してお話を伺いました。
このブログを読んでいただいて皆様の中には「新築の家をすぐに売却するなんて勿体ない」という方もみえると思いますが、じつは新築(もしくは築浅中古)の売却依頼というのは多いのです。
今回は「旦那さんの転勤の関係」だったので売却しないで賃貸することも検討されていましたが、
- 近隣の方との人間関係が上手くいかない
- 新築を建設中に離婚になった
というような理由で新築を売却される方も少なくありません。
また「新築だったらすぐに売れるでしょう?」いうわけではなく、意外と新築でも損して売っている方が大勢みえます。
というのも、不動産は一度でも住んでしまえば価値は10%下がると言われています。
その後はじわじわと価格は下がっていくのですが「購入直後の値下がりが一番大きい」のです。
とはいえ、いざ家を売ると決めれば「出来るだけ損はしたくない」でしょうから、新築だからこその売却時の注意点をお伝えしたいと思います。
ですが、その前に「そもそも新築ってどういう家のことを指すのか?」をお伝えしていきましょう。
新築と中古の定義とは?
「新築の家」と「中古の家」では、言葉のイメージとしても受ける印象は大きく変わってきますよね。
売り手としては、まだ建ててから年数もさほど経過していないのであれば新築だと思いたいところ。
しかし、新築の定義については不動産公正取引協議会連合会が定める「不動産の表示に関する公正競争規約」に記載されています。
そこには「新築」というのは
- 建築後1年未満
- 居住の用に供されたことがないもの
と記載されています。
つまり、新築で購入しても「一度でも入居すれば中古」となるわけですね。
ただ、築20年の家と築3年の家をまとめて中古と呼ぶと「築年数の浅い物件のイメージが悪い」ので、業界的には築5年未満(明確な定めはない)の物件を「築浅」と呼んでいます。
ちなみに、新築は1年を経過していれば未入居でも「中古」となるわけですが、よく新築の建売で売れ残っている物件があります。
これも中古になるのかというと、こちらも「1年を経過すれば扱いは中古」です。
ですから「新築の売却」というのは正しくは「築浅(中古)の売却」なのですが、ここでは一般的に分かりやすいように新築のままで解説を続けます。
新築の売却!損はどれくらい考えておくべき?
WEBで情報を集めると「新築を損せずに売却できました」という話もよく見かけます。
そうなると「だったら我が家も‥」と思ってしまいますが、基本的に「新築の売却は損する可能性が高い」です。
冒頭でも少し触れましたが、新築も一度入居してしまえば価値は10%下がると言われています。
これは新築を購入する費用の中には「販売業者の利益や経費」が含まれており、その分が一気に値下がりする原因と言われています。
また、その後はじわじわと下げるものの「築5年」を境に再度大きく値が下がります。
これは先ほどの「築浅」が関係しており、5年を過ぎると「中古物件」というイメージに切り替わります。
立地などの条件に左右はされますが、築5年であれば目安として「25%前後の値下がり」は覚悟しておいた方が良いですね。
損せず売れる物件はどういうの?
ちなみに、損せず売れる物件というのは「好立地」であることがほとんどです。
車であれば「新しさ」は売却価格に大きく影響しますが、不動産の場合はそうでもありません。
家が新築同然でも立地が不便なところであれば「買い手が見つかりにくい」です。
もし家の売却の可能性があって家を買うのであれば、売る時のことも考えて「立地を優先させて買う」のがコツですね。
ちなみに新築売却は損する可能性が高いとしても「出来るだけ損せずに高く売りたい」と誰でも思います。
ですが、買い手がつかなければ「値下げ」も考えないといけませんし、やっと買い手が捕まっても「値引き交渉」があります。
だからといって売却価格を決めるのは売主さんですから「出来るだけ高く売りたいから値下げも値引きも応じません」という方もいらっしゃいます。
では「希望価格で売れるのを待つ」のと「仕方がないので値引きしてでも売る」のは、どっちが得なのでしょうか。
「売れるまで待つ」と「値引きに応じる」どっちが賢い?
この2つの選択は売主としては悩ましいところだと思います。
値引きに応じると売却価格が下がるので「売れるまで待ちたい」という方もみえますが、私が売却相談を受けた際には「さっさと売った方が良い」とアドバイスしています。
その理由として、以下があります。
- 待っている時間(年数)でも物件価値は下がる
- 仲介業者も売れにくい物件は積極的に紹介しなくなる
不動産の売買では、新しく出た物件がすぐに売れることも多々ありますが、逆に売れ残ってしまった物件は年単位で残ることもあります。
それだけ不動産には「情報の鮮度」があって、お客様も「ああ、これ前に見たな」と思うと見向きもしなくなってしまいます。
とくに新築であれば「新しさが売り」なので、待っている間に築年数が経過していくのは新築ならではのメリットが失われていきます。(築浅が中古になるとか)
待ったは良いけど「売れ残って値引き」というのが最悪のケースなので、不動産は情報の鮮度も活かしつつ売り時を逃さないのが売却の上手なコツです。
値引き交渉は「あるもの」として売値を決める
「値引きしてでも売った方が良いというのは分かったけど、でも値引きした分困るな‥」という売主さんの気持ちは分かります。
しかし、いざ買主が表れれば必ず値引き交渉が入ります。
きっと相場よりも安い価格で設定していても「とりあえず値引きしてみる」という感覚で値引き交渉があります。
相場よりも安いのであればさらに値引きしなくても売却が決まる可能性は高いですが、逆に値引きされることが分かっているので「値引き交渉分だけ売値を高くしておく」というのも手です。
「決めてくれるなら●万円値引きします」というと間に入っている仲介業者の営業マンも交渉しやすいですし、もし「買い手が複数人現れれば」売値に近い価格で買ってくれる方に売れば良いので予定よりも高く売れて得です。
新築を売却する価格は、仲介業者と相談しても決めるのは売主です。
そのため、
- 同じ地域で売りに出している物件もあるから相場よりも安く出して目立たせよう
- 売却する家の立地は駅から近いし人気だから値引き交渉も考えて高めに設定しよう
というような戦略を考えれるだけの下調べも重要です。
そのためには「不動産の相場情報」を集める必要がありますので、以下の記事も参考にしてください。
家を売る相場が知りたい!プロも見ている便利サイトを紹介します
新築を売却する理由は、なぜ聞かれるのか?
家を売却する時に「余計なお金が出て損した」というのは、じつは売買の取引時だけの話ではありません。
意外と「売却した後のトラブル」で余計な出費を支払っている売主さんも多いのです。
そうならないために仲介業者の担当者は「売却理由」を聞きます。
私が売買を担当していた時は「お金の問題」「離婚」などの理由が多くて、なかには「こういった理由だとイメージが悪くて高く売れないのでは?」と気にされる方もみえます。
正直そういった理由が売買に影響することはありませんが、もし「お金の問題」や「離婚」ということを買主に伝えにくい場合は、
- 家族が増えて手狭になったので
- 仕事の関係で引っ越すことになって
- 親との同居が決まりまして
というような「当たり障りのない話」で躱しても問題ありません。
但し、家のことに関しては正直に答えないと後で大きなトラブルを招きます。
「告知義務違反」は損害賠償になります
家を売却する時に「この家、じつは雨漏れするんだよな」ということを隠して契約した場合は、告知義務違反となります。
告知義務とは、瑕疵があれば売主は買主に伝える義務があるということです。
- 物理的瑕疵…シロアリ・雨漏れ
- 心理的瑕疵…自殺・殺人
こういったことを伝えていないと告知義務違反にあたり、多くの場合は損害賠償や契約解除に発展することになります。
また、売主が告知義務違反しただけで仲介した不動産屋は関係ないのかというとそうでもありません。
重要事項説明での説明義務があるので、その点はしっかりと把握しておきたいところなんです。
離婚など売主の事情はともかく「瑕疵の有無に関しては後のトラブルに発展する可能性がある」ので、きちんと伝えるようにして下さい。
告知義務違反して高く売っても、あとで損害賠償になれば結局は損ですからね。
「これはどうなんだろう?」と、ちょっと気になることは不動産屋さんに相談しておくと安心です。
おわりに
いかがでしたか?
今回は「新築の売却について」解説してきました。
WEBで情報を集めると「損せずに売れました」という話もみますが、そういった方は立地が良いなど売却に有利な条件があったか相当運が良かったかです。
一般的には新築と言えども損する確率は高く9割の方は損して売却しているでしょう。
ですから、考え方としては「損したくない」ではなく「いかに損を少なく売却するか?」が重要です。
そして、そのための新築売却のコツとしては「情報の鮮度」を意識することをお勧めします。
希望価格で売りたいからと時間をかけると「年内だったら築5年で築浅だけど、来年になると築6年で中古というイメージになる」というような、家が新しいというセールスポイントが失われて結局損する可能性も出てきます。
新築だからこそ短期決戦で売却するのが宜しいかと思います。
あとは告知義務違反など後でトラブルに発展しそうなことは無いようにしましょう。
以上「新築の売却はいくら損する?少しでも高く売るためのポイントとは」でした。
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