家の購入に合わせて車の買い替えを検討される方は多いです。
そこでよく頂く質問で「住宅ローンと合わせて車の購入費を上乗せできないか?」というものです。
似たようなもので「家具代」というのもありますね。
これに対して不動産営業マンで「大丈夫ですよ!」なんて返事をする人も結構いるのですが、基本的に借りる人の立場で考えると「住宅ローンに車や家具の購入費を上乗せするメリットはありません。」
住宅ローンは他のローンに比べて金利が優遇されているのでお得だと思われるのかもしれませんが、全然得じゃないんですよ。
また住宅ローンの途中解除に繋がる危険性もあってデメリットしかないんです!
住宅ローンで車を買うのは「目的外利用」にあたる
住宅ローンは「目的別ローン」に分類される商品の一種です。
借り入れる額がかなり高額でなおかつ長期間の返済となるので金利はかなり低めに設定されており、限度額も1000万から1億とかなり高額です。
そこに目を付けて目的外利用をすすめる業者があるのですが、これは問題ある行為なので絶対にやってはいけません。
住宅ローンでは物件価格以上のローンを組むことを「オーバーローン」と呼びます。
オーバーローンとは「担保となる物件の評価額以上の借り入れがある」ことを言うので、通常のローンでも不動産価格の下落などで起きることがあります。
ですから、これ自体は(喜ばしくはありませんが)問題ではないのですが、「実際に必要な額を水増しして住宅ローンを借りる」となると大きな問題をはらむことになります。
「ではなぜこういった目的外利用を考える人がいるのか?」というと、理由としてあげられるのが「住宅ローンの金利が低く限度額が非常に高い」という特徴があるためです。
大手銀行の住宅ローンであれば通常で2%から3%、特約やキャンペーンなどを併用すると0.5%台という事もあります。
一般的なカードローン借入額にもよりますが18%から3%程度となっており、明らかに住宅ローンの方が金利が低いです。
また借入額もかなり高額なところまで対応していることが多いので、こういった目的外利用を考える人が出てくるという訳です。
具体的にどんな問題が起きるのか?
こういった目的外利用で起こる問題は、「法律上の問題」と「支払い時に起きる問題」の二つに分けられます。
両方とも大きなデメリットしかありませんから、住宅ローンを検討されている方は注意してください。
法律上の問題
まず法律上の問題として「物件の評価額以上の借り入れをする」という事は業者などと組んで書類を偽造する必要がありますし、その上で銀行や金融機関をだます必要が出てきます。
書類の偽造というだけで私文書偽造に問われますし、その上で融資を受けようとする行為は「詐欺」になります。
発覚した場合実際に訴えるかは銀行側の判断に任されますが、訴えられるかどうかは別としてほぼ確実に住宅ローンの打ち切りと貸し付けている分の資金の一括返済を求められることになるでしょう。
もし発覚しなかったとしても、担保となる不動産の資産価値以上借りているわけですから、返済不能になった場合のリスクや問題が大きくなります。
「じゃあ、返済ができるのであれば問題ないのか?」と考える方もいるかと思いますが、そもそも目的外利用をしてまで高額なローンを借りなくてはならない人物の返済能力がよい訳がありません。
またこのオーバーローンは不動産業者に対しても大きな処分が下されますから、現在では法律をしっかりと守っているまともな企業であれば勧めること自体がありません。
つまりそういう行為を勧める、もしくは承諾するような企業とかかわる事自体が大きなリスクなのです。
支払い時に起きる問題
住宅ローンの金利は、ディーラーのオートローンよりも低く設定されていることがほとんどです。
そのため「安い金利で借りれるなら得だろう」と思いがちですが、じつはそうではありません。
仮に、「住宅購入費の3500万円」と「車の購入費300万円を加えた3800万円」で比較してみましょう。
35年の借り入れで金利は2.0%で計算すると、
<金利2.0% 35年ローンの場合>
借入金額 | 35,000,000円 | 38,000,000円 |
利息 | 13,695,627円 | 14,869,538円 |
合計 | 48,695,627円 | 52,869,538円 |
利息の差額は、1,173,931円 となります。
ちなみ金利5.5%で60か月返済のオートローンで計算すると、利息は438,209円です。
住宅ローンとオートローンで計算してみると利息の差額は70万円以上もあります。
住宅ローンは35年という長い期間を借りているので、金利が安くても支払う利息は大きくなります。
それに、そもそも車を35年も乗る人はいらっしゃらないでしょう?
仮に10年で車を買い替えたとしても、その買い替えた乗っていない車の利息を払い続けることになるのですから、本当に勿体ないですよね。
この点から考えても、住宅ローンは借入期間が長い分支払う利息は多くなるので支払うお金の面でも得策ではないですし、もし目的外の利用が銀行にバレた場合は、住宅ローンの解約や一括返済を求められ、それに応じられなければ家を売却される恐れも出てくるのです。
不動産の営業マンは家が一軒売れるかどうかで成績が大きく変わるので「お客様がそうしたいならやりますよ」というスタンスをとる人もいますけど、私としてはお勧めはとても出来ません。
車がどうしても必要なら?
住宅ローンに車の購入費を上乗せしたいからには、どうしても車が必要な理由があるのだと思います。
そのため「住宅ローンで大きな借り入れを起こした後だと車のローンが組めないんじゃないか?それで買えなかったらどうしよう…」という不安があるのではないでしょうか。
でもご安心ください。
もちろん住宅ローンに組み込むことはお勧めできませんが、家の引き渡しが終わってから車を購入すればよほどのケースで問題はありません。
ポイントは「家の引き渡しが終わってから」です。
家の引き渡しの前に車は買ってはいけない理由
もちろん現金一括で購入される分には問題ありませんが、住宅ローンの審査を受けて銀行や不動産の営業マンに「融資OKです」と言われてもいても、家の引き渡しが行われる前は「仮審査」の状態です。
住宅ローンの実行は「仮審査~本審査申込~金銭消費貸借契約~融資実行」という流れがあり、融資の実行は「家の引き渡し直前」に行われるのが一般的です。
仮審査がOKだったとしても、融資が実行されるまでの間に、ローンが増えたり、転職したなどの「支払い能力」に変更があったと確認された場合、融資が実行されない可能性が出てきます。
そのため、家の引き渡しの前に車をローンで購入するのはやめましょう。
家を買っても車のローンは問題ない?
先述しましたが「住宅ローンで支払いが増えたから車のローンが組めないかも…!?」ということを心配される方は結構みえます。
しかし、ほとんどのケースで住宅ローンが原因で車のローンが組めないということはありません。
たしかに「オートローン」の申し込み用紙には「住宅ローンはあるか?」という質問がありますが、知人の自動車ディーラーの営業マンに聞いても「住宅ローンがあってもオートローンは通ることがほとんど」だと言います。
基本的に「家は資産」として考えられるので、必ずしも住宅ローンがマイナス要因にはなりません。
ただ単純に「支払い能力以上の借り入れ(車を買おう)」とすれば審査NGはあると思います。
おわりに
いかがでしたか?
家を購入するとなると「家以外のもの」でも出費は結構あります。
そのため「住宅ローンに1つでまとめると楽なんじゃないの?」と思うのですが、とにかく35年という長い期間の借り入れになるので支払総額が増えることになります。
とくに大事なポイントをまとめると、
- 住宅ローンに車や家具の購入費を上乗せすると利息の支払いが増えて損する
- 住宅購入以外のものをローンにこっそり組み込むと目的外利用で契約解除の恐れがある
- 住宅ローンを組むと多くの銀行で「フリーローン」などを勧められるので、こちらを利用する方がベター
家の購入時にお客様から住宅ローンに車などの組み込みを提案されると、不動産営業マンは家を買って欲しいので「大丈夫です!」という方が多いと思いますが、実際大丈夫じゃないですからね。
家以外のものを住宅ローンに組み込む場合は、これらの点をしっかり考えてください。
最後に、住宅ローンを契約したら「住宅ローン控除」は必ず手続きしましょう!
なんといっても税金から少しお金が戻ってきますからね。
また住宅ローンの利息を少しでも減らして返済したい方は、こちらの記事もどうぞ!
以上「住宅ローンに車の購入費を上乗せ?絶対にやめておきましょう!」でした。
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