先日、私が3年ほど前に賃貸で物件を勧めたお客様から「住宅購入」の相談を受けました。
「3年前に賃貸物件を紹介してもらった時の対応が良かったから」と、わざわざ私に会いに来てくださったのです。
「な、何言ってんだ!馬鹿野郎!」と涙がこぼれ落ちそうになるのをごまかすために、空を見上げたのは言うまでもありません。
さて、そんなお客様からの家探しのご相談。
私も本気にならざるを得ませんよね。
その方は賃貸物件でマンション暮らしが良かったから「分譲マンションを購入しようかな?」とのこと。
年齢は20代後半です。
分譲マンション買おうと思っているお客様に、私はつい「一戸建てにしたら?」と言ってしまいました。
これから家を買おうと考えている人は、マンションと戸建てのどっちがいいか悩むところだと思います。
私もマンションには6年暮らしていましたが、快適な生活を送れました。
具体的に、マンションでの暮らしは、
- 景観は最高!
- 立地のわりに安い!
- 掃除は簡単!
- 夏は涼しく、冬は冷え込まない!
- 虫も出ない!
少し考えただけでも上記のようなメリットがあります。
しかし、それでも私を訪ねて頂いたお客様にマンションをお勧めしなかったのは、以下のデメリットを考えてのことでした。
マンションのデメリットは購入することで生まれる!?
戸建とマンションを比べると、暮らしの快適さはマンションに軍配があがると思います。
「マンション暮らしは快適で、むしろデメリットなんて感じないけど?」と言う方もいるでしょう。
実際、マンション暮らしだと戸建てのように部屋に段差もないですから、老後になっても安心ですよね。
しかし、20代後半という若さで分譲マンションを購入してそのまま終の棲家として考えると、まず年数が経過するにつれ「お金の面で大変」になっていきます。
分譲マンションの購入で必要になる毎月の支払い
具体的に、分譲マンションは「毎月の支払い」として、
- 住宅ローン(戸建ても一緒)
- 固定資産税(戸建ても一緒)
- 火災保険(戸建ても一緒)
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場(月極めよりは安い)
が、必要になってきます。
上の1~3は戸建てでも必要ですが、4~6はマンションの場合にかかる費用です。
また、その中でも「修繕積立金」が結構な曲者なんです。
修繕積立金が後の悩みの種になる
修繕積立金とは、管理費などの日常的なマンションの維持管理を行うために費用とは別に、大規模な修繕工事費用のために貯めておこうというものです。
ただ、この修繕積立金も新築販売する時に金額を高く設定していると「住宅ローン以外にこんなにお金が掛かるのか」と思われるので、基本的に毎月の支払う設定は低くされています。
例えば、3500万円台60㎡の新築分譲マンションで修繕積立金は6000円というのがあります。(スーモ見て実際のマンションで例にしています)
この場合、毎月6000円を30年貯めたとしても216万円です。
修繕費用の計算として、詳しくは国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を見て頂くとよいのですが、ざっくり言うと1㎡あたり200円くらい月額に必要となります。
60㎡×200円=12000円(毎月)
これを単純に30年で計算する、上記の例でも432万円必要という計算になります。
432万円必要なのに216万円ですから、全然足りていませんね。
そのため、新築マンション購入時には「修繕積立基金」として、一括で支払う修繕積立金もあります。
仮に「修繕積立基金」を35万円だとします。
216万円+35万円=251万円
それでも、やっぱり足りません。
足りない修繕積立金はどうする?
このように分譲マンションの修繕積立金は、大体足りません。
では、一体どうするかというと、
- 築年数が経過するごとに「修繕積立金が値上がり」する
- 修繕工事の際に「一時分担金が徴収」される
ことになります。
例えば、修繕積立金も5年ごとに5000円ずつ値上がりして、最高で3万円になるというケースもあります。(マンションの規定によります)
また一時分担金も数十万円単位からとなりますので、マンションの住人の中には支払いたくないという人も出てトラブルの原因になります。
マンションは「建築から50年」で建て替えが考えられる
またマンションは一般的に建築から50年で建て替えが検討されます。
こういった費用も修繕積立金から支払われますが、まず足りませんから住人でお金を出し合います。
しかし、仮に新築で購入した人であれば30歳で購入していれば80歳です。
そんな方が、いまさらお金を出して建て替えたいと思うでしょうか?
また、80歳で毎月3万円も修繕積立金を支払い続けるのも辛いですよね。
つまり、若い時に分譲マンションを購入すると、
- 大規模修繕を行いたくないと言えば、他の住民から煙たがれ
- 住宅ローンが終わっても管理費と値上げされた修繕積立金を支払い続ける
という、どちらにしても困った事態に陥ります。
ですから、若いうちにマンションを購入するのはお勧め出来ないのです。
若いときに一戸建てを購入するメリット
「マンション暮らしの快適さ」というのは、確かにあります。
年齢を重ねるにつれ「階段や段差の多い戸建て」に住むよりも、床もフラットでゴミ出しや家の管理も気にしない分譲マンションは魅力に感じます。
これは間違いありません。
であれば、マンションの購入は50歳を過ぎてからでも良いのではないでしょうか。
そう考えると、やはり若いときは「戸建て」を購入した方がメリットも大きいのです。
戸建てはマンションよりも売却に有利!
戸建ては、なんだかんだ言っても売却に有利です。
家が古くても「土地がある」という大きな利点がありますから、工夫次第で売れます。
老後を考えて50歳過ぎに新築マンションを購入するとしても、戸建ての売却益をマンション購入費に充てることも出来ます。
これがマンションの場合は、築年数が経過するにつれ、なかなか売れません。
逆に言うと、マンションから引っ越したいと思っても、築年数が経過しているとそう簡単にはいかないのです。
それでも若い時に快適なマンション暮らしをしたい!
老後のことは置いといて「若い時に景観の良いマンション暮らしがしたい!」という方もみえるでしょう。
その場合は、私なら2つのアドバイスをお送りします。
購入せずに賃貸という選択
マンション暮らしを楽しみたいのであれば、賃貸という選択もアリだと思います。
賃貸でも高層・高級賃貸マンションはあります。
家賃が勿体ないと思うかもしれませんが、毎月の支払うお金は買うのとさほど変わりはないと思います。(だからこそ勿体ないかもしれませんが)
しかし、気に入らなければ気軽に引っ越しできるのも賃貸の魅力です。
快適なマンション暮らしを体験したいということであれば、飽きるまで賃貸というのも1つの手ですよね。
一生住むつもりで買わない
もう1つは「一生住むつもりで買わない」というのも1つの手です。
具体的には、
- 物件が新しい段階で売り抜ける
- 不動産投資として賃貸に出す
という考え方。
マンションの場合は、戸建てよりもフットワークを軽く考えて、柔軟に対応する姿勢が困らなくてすむと思います。
おわりに
いかがでしたか?
今回は、私の意見を全面に出してしまいましたが「マンションの暮らしは快適だ」という点は激しく同意します。
ただ、仕事柄どうしても築年数が経過してくるとマンションを修繕するかどうかのトラブル話はよく聞くのです。
その中でやはりトラブルの原因になるのは「修繕積立金」というお金のこと。
話を聞いていれば、年齢や家族構成から住人の方の言い分で誰が悪いと言い切るのも難しいことも多いです。(だからこそ大変なのですが)
目の前の快適なマンション暮らしだけに気持ちを奪われずに、マンションの購入では先のこともしっかりと考えておきたい。
私は冒頭のお客様に、そう伝えました。
というわけで、以上「マンション購入のデメリット!優雅な暮らしの先に待つものは?」でした。
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