先日「家を買うのに頭金なしは無謀ですか?」という相談を受けました。
これはよく頂く質問ですが、家を買う時に頭金があった方が良いか悪いかで言えば「あった方がよい」でしょう。
「頭金があるのなら住宅ローンで使わずに運用しなさい」と言うファイナンシャルプランナーもみえますが、それはあくまで運用(投資)で勝った場合の話です。
(負けたらどうすんだよう!)
普通に考えれば「頭金があればそれだけ住宅ローンの金利がかからない」ので、頭金をなしにするよりも間違いなく支払総額のお金は少なくなるでしょう。
しかし、頭金が今は用意できないけど「家が欲しい」という方もみえます。
というか、そういう方は多いのではないでしょうか?
そこで今回は「頭金なしで家を買う隠れたメリット」について考えてみました。
家を頭金なしで買うことにメリットはあるの?
正直、賛否両論に分かれそうなテーマですが私は「頭金なしで家を買う」ことも時と場合でメリットになると思っています。
なぜなら買い物にはすべて「タイミング」があるから。
頭金なしでも以下のようなチャンスは逃さないことが上手な家の購入の仕方ですよ。
お値打ち物件を逃がさない!
もっとも「頭金なし」でも家の購入を踏み切るメリットは、お値打ち物件を逃さないことです。
この場合は「建売一戸建て」や「分譲マンション」になります。
通常、建売でもマンションでも初めは「建てた会社」が中心になって販売しますが、ある程度の時期を過ぎて売れ残っている物件というのは「値下げしてでも売る」ようになります。
仮に20区の分譲住宅を販売している会社で「15区まで売れば損はしない計算」とした場合、利益になるのはそれ以降(16区目から)です。
つまり、値引きしてでも売り切らないと利益になりませんし、損しないから値引きもしやすいのです。
結構100万円、200万円の値引きはザラですから「お値打ち物件」があるなら、頭金なしでも決めてしまう価値は十分にあります。
譲れない立地!これだと思ったら早い者勝ち
家を買う時にもっとも重要視すべきものは何かというと、それは「立地」です。
仮に家を建てて「間取りに失敗した」と思っても、最悪はリフォームという手段があります。
ですが「立地」は変えようがありません。
これは私がそうだったのですが、家を探す際にどうしても「学区」と「嫁の実家の近く」という条件が外せませんでした。
頭金が無くても”ココ”を逃せばおそらく一戸建ては出てこない。
支払いに関しては、とにかく働けばカバーできます。
そういう背水の陣の覚悟を持って申込みしました。
私も給料だけでは厳しいので、仕事から帰って副業頑張ってます(笑)
でも、そのおかけで今は希望の立地の家に住むことが出来ていますし、副業の分少し生活にもゆとりが出来ています。
もし金利が上昇すれば頭金を貯めても変わらない
今は住宅ローンの金利も低水準です。(貯金の金利も低水準ですが)
「いつか上がる、いつか上がる」と言われて上がっていないのが現状ですが、それでもいずれ金利も上昇するでしょう。
金利1% | 金利2% | |
元金 | 30,000,000円 | 30,000,000円 |
利息 | 5,567,998円 | 11,739,109円 |
合計 | 35,567,998円 | 41,739,109円 |
仮に1%金利が上昇すると、結構な金額となります。
元金3000万円で金利1%と2%だと約600万円ほど支払う金額に差が出ますから、だったら低金利のうちに少しでも早く住宅ローンの支払いを行っておくのも1つの手だと思います。
結果「金利がそのままなのか?上昇するのか?」
それはわからないことなのですから。
「3,000万円のフルローン VS 頭金2割を貯金する」のは、どっちが得なの?
頭金なし貯金なしのフルローンでマイホームを購入するのは果たして無謀なのでしょうか?
その答えはシミュレーションしてみれば分かります。
仮に3,000万円の物件を35年ローンで購入するとして計算してみましょう。
金利差0.43%を加味して計算してみます!
「融資率9割を境に金利が0.43%変わるフラット35」をベースにシミュレーションしてみると、以下の計算になります。
毎月返済額 | 総支払額 | |
2,400万円(金利1.27%) | 70,810円 | 29,740,122円 |
3,000万円(金利1.71%) | 94,972円 | 39,888,235円 |
※ 2,400万円は頭金600万円を総支払額に加算して計算します。
3,000万円のフルローンと頭金を2割準備した場合では、総支払額の差は約415万円 です。
金利0.43%の差は大きいですね!
頭金600万円を貯金するのには6年かかるので、その間の家賃(共益費・駐車場込み)を8万円として計算すると、
- 72ヶ月×8万円=572万円
1年100万円ペースで貯金して頭金600万円を6年で準備しても、支払う利息と家賃を比べると「家賃の方が高い」という結果になります。
これに固定資産税(年間12万円×6年分)を加えても、415万円+72万円=487万円 なので家賃の方が高いです。
さらに金利差なしでも計算してみましょう!
また同じ金利1%として計算すると、
毎月返済額 | 総支払額 | |
2,400万円 | 67,748円 | 28,454,193円 |
3,000万円 | 84,685円 | 35,567,804円 |
※ 2,400万円は頭金600万円を総支払額に加算して計算します。
総支払額の差は約112万円です。
しかし、金利5%になったらどうでしょう?
毎月返済額 | 総支払額 | |
2,400万円 | 121,125円 | 50,871,997円 |
3,000万円 | 151,406円 | 63,590,316円 |
※ 2,400万円は頭金600万円を総支払額に加算して計算します。
総支払額の差は約672万円と大きく広がります。
固定資産税も加えて計算すると、賃貸で家賃を払いつつ「頭金を貯めた方が100万円は得する計算」となります。
つまり、頭金なしで家を買うのも「金利の低い今」ならアリなのです。
ですが、だからと言って何でもかんでも家を買うことを勧めているわけではありません。
総支払額以上に注意しないといけないのは「毎月の返済額」ですから。
頭金なしで家を買うからこそ気を付けるべきこと!
頭金なしでも「タイミングを逃がさない」ということは上手な買い物の仕方だと思いますし、逆にコツコツ頭金を貯めてタイミングを逃せば「何のために貯めたのかわからない」ということにもなります。
住宅ローンは長い間支払いが続くので「この先何があるか分からない」という不安は付きまといます。
そこで「頭金なしで家を買うからこそ」気を付けておきたいポイントについても考えてみました。
住宅ローンの月々の支払いは無理しない!
今は銀行の住宅ローンの借入可能額の目安は「年収の7倍」と言われています。
ですが「借りられる」のと「返せる」のは違うということは念頭に置いておきましょう。
家を購入して本当に後悔するのは「住宅ローンの支払いが苦しい」こと。
家を買う時は気が大きくなって「ボーナスもあるし、なんとかなるかな?」と考えがち。
出来れば住宅ローンの返済にボーナスは含めずに、毎月の給料で支払える金額で計算しましょう。
家は購入がゴールではなく、そこからの生活にいろいろお金が必要になってきます。
また今までは賃貸で発生しなかった固定資産税などの税金も出てきます。
この先何があるか分からないからこそ、ボーナスは緊急用に貯蓄して「支払いに余裕が出来たら繰り越し返済などに充てる」ことをお勧めします。
金利が安いと「何でも」借りない!
住宅ローンでありがちな失敗は「何でも借りる」こと。
例えば、家の購入のために必要な経費以外に「家具や引っ越し代など」も借りられるだけ借りる。
借りても月々の返済がまったく問題ないのであれば良いですが、借りなくて済むものは極力借り入れを起こさないようにしましょう。
住宅ローンは金利が安いですが、借入年数が長いので総支払いはグッと増えます。
詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
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住宅ローンに車の購入費を上乗せ?絶対にやめておきましょう!
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転職や副業で収入アップを積極的に考えてみる!
あまり転職や副業を勧める不動産営業マンもいないと思いますが、私は家の引き渡しが完了したら「速攻で転職」しました。
転職だけでも毎月の給料は3万円ほどアップしました。
転職は職種にもよると思いますが、転職が無理なら副業もアリだと思います。
今は「クラウドソーシング」など家で出来る副業もありますし、気合と根性があれば稼ぐことが出来ます。
私も貯金をしてこなかった人間なので大きなことは言えませんが、だからこそ「人生頑張る時期が来た」と思っています。
また、やっていると色々なことがわかって面白いものですし、上手くいけば毎月の住宅ローンの支払いが副業の収入で賄えてしまいますよ。
もちろん頭金を準備するメリットもある!?
「頭金なしで家を買っても良いの?」と聞かれれば、今の低金利時代ならアリだと思います。
ですが、もちろん頭金や貯金があることで受けられるメリットもあります。
頭金があれば低い金利で住宅ローンが組める!?
フラット35の借入期間21~35年の2019年3月の最新金利では、
融資率9割以下 | 年利1.27~1.96% |
融資率9割以上 | 年利1.71~2.40% |
となっています。
融資率とは、フラット35の「借り入れ額 ÷ 住宅の購入価額 のこと」ですが、頭金が1割未満だと「金利が0.43%もアップ」します。
仮に2,000万円を借入れするとしたら、
金利 | 毎月返済額 | 総支払額 |
1.27% | 59,008円 | 24,783,437円 |
1.71% | 63,314円 | 26,592,167円 |
毎月の返済額では約4,300円、総支払額では約180万円の差が生まれます。
金利は最終的に審査で決まるので上記が必ず当てはまるわけではありませんが「頭金なしだと金利が高くなる」ことは考えておきたいポイントです。
マイホーム購入を後悔するのは頭金の有無ではない!?
ここでようやく記事タイトルにもあった「マイホームの後悔」についてです。
とりあえず、ここまでの解説で「頭金なしで家を買っても別に後悔しない」ことは分かって頂けたと思います。
では、マイホーム購入で後悔するのはどういった時でしょうか?
マイホームを買っても暮らしが変わらなければ後悔しない!
住宅ローンの返済のために我慢を余儀なくされ「これだったら賃貸生活の方が楽だった」と思えばマイホーム購入に後悔を感じるでしょう。
ですから、現在低金利で頭金なしのフルローンで家を買えるとしても「支払えそうもない返済額」で住宅ローンを組むのは後悔の元。
それは頭金があったとしても同じです。
よく言われることですが「借りれる金額と返済できる金額は違う」ので、この点は注意したいポイントです。
じつは、私も頭金なしでマイホーム購入しています!
ここまで色々お伝えしてきましたが、実際に私も頭金なしのフルローンでマイホームを購入しています。
もちろん購入したことに後悔もしていませんし、むしろ賃貸に住んでいた時よりも「持ち家がある」という安心感から満足度は高いです。
毎月の返済額も今まで住んでいた賃貸の家賃とほぼ変わらないので、今のところ問題もありません。
でも、だからと言って35年ローンを支払い続けるつもりもありません。
今の低金利もいつまで続くか分かりませんので「できる限り繰り上げ返済はしていきたい」と考えています。
おわりに
今回は「頭金なしで家を買う」ことをテーマにしてきました。
昔は住宅ローンを組むのに「諸費用分は現金」ということが一般的でしたので、どうしても頭金として2割程度のお金が必要でした。
ですが、今は諸費用も含めてローンが組めるようになったので「月々の支払いが問題ない」のであれば、頭金なしで家を買うことは何もおかしいことではありません。
それよりも「お値打ち物件」や「掘り出し物件」があれば頭金の有無は気にせず「買えるなら買う」で良いと思います。
しかし、当然頭金なしであれば住宅ローンの毎月の支払いは大きくなるので「気持ちと財布を引き締めて」家の購入は検討しましょう。
以上「頭金なしで家を買う!これは果たして無謀な行為なのでしょうか?」でした。
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