定期借地権とは「50年以上の期間を定めた借地権」のことです。(借地借家法第22条)
平成4年の施工から25年以上が経過しているので、もはや土地選びの選択肢としてお馴染みと言えますが、
- 契約の更新がない
- 存続期間中に建物が滅失し、再築したとしても存続期間の延長はない
- 契約期間満了時の建物買取請求を認めない
などの特徴があります。
また、通常の借地権と違って「公正証書等の書面」によって契約しなければなりません。
そんな定期借地権ですが、新しい制度だったこともあって「後悔の声」も聞こえています。
ここでは、定期借地権で家を建てて何を後悔したのか?
また、それを踏まえて「今後どのように気を付けるべきなのか?」をお伝えしていきましょう。
定期借地権も後悔先に立たず!これから契約する人は気を付けて
定期借地権が開始された当初から何かしらのトラブルは危惧されていました。
しかし、なかには想定していなかった問題も出てきていますので、これから定期借地権の利用を考えている方は是非参考にして下さい。
定期借地権は中途解約ができない!?
定期借地権が開始された当初は「50年経過した後」の建物の取り壊しなどが心配されていました。
ですが、実際に定期借地権が開始されてみると「何かしらの事情で中途解約される方が多い」ことが問題になっています。
というのも、原則として「定期借地権は中途解約が認められていない」からです。
契約期間のある定期借地契約で中途解約するには「中途解約権を留保する特約」を定めておく必要があります。
しかし、定期借地権が定められた平成4年当時は、多くの契約で中途解約権の留保をしていなかったことでトラブルになりました。
特約なしで中途解約すれば金銭的負担は免れない
中途解約の特約が無い状態で契約解除するには、
- 合意解約
- 「事情変更の原則」を適用した上で解約
となりますが、ただ「どちらにしても借主の金銭的負担は免れない」でしょう。
基本的には貸主との話合いですが、場合によっては「期間満了まで得られたであろう賃料相当」が中途解約に必要となる恐れがあります。
ですから、これから定期借地権を締結される方は「中途解約権の留保の特約条項」を必ずチェックしましょう。
定期借地権付き住宅は売れにくい!?
定期借地権付きの中古住宅は、通常の所有権のある建売中古住宅と比べて売れにくい傾向にあります。
というのも、中古住宅を購入する方は「リフォームして長く住みたい」という方がほとんどでしょう。
しかし、定期借地権だと「リフォームしても契約期間が満了したら更地にして返却」しなければなりません。
そうなれば買う側としてはリフォーム費用が勿体なく感じてしまいます。
建物を再築する場合も同じ
そして、これが個人的に怖いなと思っているのですが「借地契約10年程度を残して火事や地震などで建物が滅失した場合」です。
家が無くなったから再築したけど、定期借地契約では更新が認められません。
だからといって、再築せずに残りの借地契約の間「地代を払い続けるのも勿体ない」ですよね。
自分が住み続けるにしても再築や増改築に関することは非常に重要です。
定期借地権は先々のことまでしっかり考えておく必要があります。
老後が不安になりやすい!?
あとは実際に定期借地の家に住んでいる方の話を聞くと「老後が心配」という意見が多いです。
持ち家と賃貸のどっちが良いかでも老後の話はありがちですが、定期借地権付き住宅は「持ち家だけど賃貸という特殊な状態」です。
そのため初めは持ち家気分だったけど、年を追うにつれて借地であることの実感が増して「老後はどこに住めば良いのか?」不安に感じるとのこと。
その他に注意したいのは「地代が増額される」ことも可能性としてはあります。
とはいえ、これは住宅ローンでも金利が上がる可能性はあるので定期借地権だから不利というわけではありません。
ただ、定期借地権は所有権付きの住宅よりも「老後資金は蓄えておくべき」なので、しっかりと先を見据えて利用するべきでしょう。
定期借地権にもメリットはあります!
定期借地権について後向きな話ばかりでしたが、それでも定期借地権にだってメリットはあります。
その代表的なものが「土地を購入しないので月々の支払いが楽になる」という点です。
一般的には所有権付きの住宅よりも「3割程度安く」家が持てると言われています。
支払いシミュレーションをしてみましょう
まずは「建物2,000万円・土地1,500万円・35年住宅ローン金利1%」で計算してみます。
建物2,000万円 + 土地1,500万円 = 3,500万円(利息含めた総支払額は4,150万円)
次に、土地1,500万円の代わりに定期借地として「保証金300万円・地代年間24万円」とします。(※ 保証金は返還されますが「建物取り壊し費用」で大体消えます)
建物2,000万円 + 保証金300万円 = 2,300万円(利息含めた総支払額は2,727万円)
2,300万円を変動金利1%で35年ローンにすると「月々の返済額は6.5万円」になります。
ただし、住宅ローンとは別に「地代が発生」するので、
住宅ローン月々6.5万円 + 地代2万円(毎月)= 8.5万円
これはざっくりした一例ですが、ほとんどのケースで所有権よりも定期借地権の方が毎月の負担額は楽になります。
また、定期借地権の場合は「土地の固定資産税も貸主の負担」です。
総額で考えるとどうなのか?
支払総額で考えても定期借地権の方が安く済みます。
先の建物と保証金(ここでは建物解体費用として考えます)と利息を合わせた2,727万円に、35年分の地代を合わせて
- 35年 × 24万円(2万円×12ヶ月)= 840万円 <地代総額>
- 2,727万円 + 840万円 = 3,567万円<住宅支払い総額>
その他、土地の固定資産税や住宅ローン減税などの割合もありますが、住宅ローン3,500万円に利息を含めた総支払額4,150万円と比べると「定期借地権の方が583万円安い」計算です。
ただ、1,500万円の土地が50年後に建物付きで600万円以上で売却できれば買った方が得とも考えられます。
この点は定期借地権をどのように捉えるかで後悔するしないにも影響がありそうです。
定期借地権付き住宅で後悔しないための考え方
定期借地権付き住宅は、自分で建てた家に住むので「持ち家」という感覚だと思います。
実際に建物は売れますし所有権もありますから持ち家で間違いはないのですが、賃貸として考えた方が後悔はしません。
例えば、購入した方が得かどうか考える場合も「家賃」というイメージで考えれば支払いが少ないことはメリットになります。
また、老後の不安も賃貸派であれば「老後は移住する」とか「老人ホームに入る」と考えて賃貸を選択されている方も大勢みえます。
そういった老後のことも、定期借地権を賃貸に近いイメージで考えておけば不安も軽減されるでしょう。
定期借地権付き住宅は、持ち家と賃貸のメリットとデメリットを併せ持った「第3の選択肢」ということを理解しておくことが大切です。
まとめ
そもそも定期借地権は、借主が保護される借地借家法の中でも「貸主が保護される特別な内容」になっています。
そのため、確かに月々の支払いは所有権よりも定期借地権の方が下がりますが、
- 中途解約権の留保の特約
- 建物が滅失した場合はどうなるのか
- 老後に対する備え
なども考えて契約を締結しないと後悔することになるかもしれません。
定期借地権にもデメリットになり得る部分はあるので、メリットばかりではなくデメリットもきちんと説明してくれる会社で締結するのがいいですね。
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