賃貸住宅は昭和56年を起点に着工件数を伸ばし、現在も高い着工戸数を維持しています。
しかし、それと同様に空き家も右肩上がりで増えており、2018年では「432万7千戸の賃貸住宅が空き家」というデータがあります。
こういったデータもあって、最近では「一生賃貸の方が賢いんじゃない?」という意見もチラホラ聞きます。
賃貸と持ち家のどちらが良いかは「家族構成・居住地・勤務先」にもよるので一概に言えませんが、ここでは賃貸だけではなく売買の不動産業界の動向も見て「一生賃貸は後悔するのか?」解説したいと思います。
一生賃貸は賢い選択かも知れない!
近年よく聞くようになりましたが「リバースモゲージ」や「ハウスリースバック」というサービスをご存じでしょうか?
リバースモゲージとは「持ち家を担保に融資を受け、死亡後に自宅を売却して一括返済に充てる」制度をいいます。
また、ハウスリースバックとは、元ヤクルトの古田さんがイメージキャラクターと勤めるハウスドゥが行なっている「一旦家を売却した後に賃貸借契約を締結するサービス」のことです。(買い戻しも可能)
どちらも家に住み続けることが出来るのがメリットですが、裏事情を知ると「持ち家も大変だな」と思えます。
50~70代でお金がピンチになる方が続出!?
そもそもリバースモゲージはシニア層に向けたサービスですが、ハウスリースバックも「利用者の70%以上が50~70代」というデータがあります。
また、これらのサービスを利用する理由としては「相続」や「老後資金にゆとりを持たせる」だけではなく、
- 住宅ローンの返済が厳しい
- 借金返済のため
という「お金に困った内容」が、じつは多いのです。
住宅ローンは返済額のコントロールが簡単ではない!
住宅金融支援機構では「リスク管理債権」というデータを公開しています。
H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | |
破綻先債権額、延滞債権額、3ヶ月以上延滞債権額と元金残高の比率(%) | 2.58 | 2.35 | 2.11 | 1.89 | 1.69 | 1.56 |
上記に貸出条件緩和債権額を加えた元金残高との比率(%) | 6.67 | 5.87 | 5.10 | 4.52 | 3.94 | 3.49 |
(※ 住宅金融支援機構のリスク管理債権を元に、平成25年から平成30年までの「住宅ローンの返済が出来ていない(もしくは貸出条件の緩和を行なった)」比率の推移を作成)
表を見ると年々比率は下がっていますが、それでも全体の元金残高に対して1.5%以上が「破綻」「破綻の可能性がある」「3ヶ月以上延滞している」に当てはまります。
また、貸出条件の緩和も必ず認められるものではありません。
その点を考えれば「家賃が苦しければ引っ越しすればいいだけ」の賃貸は、生活が厳しくなっても借金を背負うわけではないので安心と言えます。
借金がじつは「税金滞納」ということも!?
リバースモゲージやハウスリースバックを申し込みする理由が「借金返済のため」という方は、じつは消費者金融の借入れではなく「固定資産税などの税金の滞納」というケースも少なくありません。
固定資産税などの税金を1ヶ月以上滞納すれば、原則14.6%の延滞税が課されます。(特例有り)
これから先の老後生活が楽になるビジョンが見えない!?
2060年には人口が8,674万人になり、その時には4人に1人が65歳以上と言われています。
そういった超高齢化時代の前にも関わらず、今のこのような状況では先行きが不安でしかありません。
一生賃貸は老後が不安と言われますが、それよりも「賃貸の身軽さ」が老後生活を助けることになるのではないでしょうか?
それでも一生賃貸は恥ずかしい!?
ただ、それでも「一生賃貸はあり得ない」という方もみえるでしょう。
「一生賃貸だと恥ずかしい。まわりが持ち家だと子供が惨めになる」という意見も多いです。
私が住んでいるのは田舎ですが、この意見は都市部を離れる地方ほど如実に表れます。
都市と地方で賃貸に対する考え方は大きく異なる!
平成30年度の土地統計調査のデータをから、持ち家率が”低い”都道府県のトップ3を見ると次のようになります。(平均61.2%)
- 沖縄県…44.4%
- 東京都…45.0%
- 福岡県…52.8%
沖縄は台風被害もあるので持ち家よりも賃貸なのかもしれませんが、続く東京都・福岡県また大阪府や北海道など大きな都市がある地域の持ち家率は平均値を下回ります。
地方では「まわりが家を買うからウチも…」となりやすい!?
ただ、地方に行けば「持ち家率」が上がるので、やはり周りの目も気になるでしょう。
先の土地統計調査から、持ち家率の”高い”都道府県を見ると次のようになります。
- 秋田県…77.3%
- 富山県…76.8%
- 秋田県・福井県…74.9%
上位は東日本が占めていますが、他の県を見ても多くは平均値の61.2%を超えています。
実際に私が住んでいる地方では「まわりが家を買うから」という見栄や焦りは購入動機として大きいです。
結局一生賃貸は後悔するのか?
「50~70代のリバースモゲージやハウスリースバックの利用状況」や「地域の持ち家率」を踏まえて、結局一生賃貸はどうかというと個人的には次のように考えています。
- 家を買うなら20代30代の早いうちに!
- 40代は子供の年齢による
- 50代なら一生賃貸でも良いのでは?
順番にみていきましょう。
家を買うなら20代30代の若い方が良い!
賃貸の店頭でお客様と話をしていると「とりあえず賃貸生活をして家の購入資金を貯金したい」という方がみえます。
この意見は分かるのですが、私は無理なく住宅ローンを払えそうなら「早めに家は買った方が良い」と思います。
「住宅ローンの利息が勿体ないから頭金を貯める」という考えはバブルで高金利時代だった時の話です。
当時は住宅ローンの金利も8%台があったそうなので、仮に35年ローンで3,000万円借りたとすると利息が5,900万円になります。
しかし、現在は固定金利1.5%で計算しても利息は約860万円です。
もちろん大きな金額ですが、仮に貯金している間に固定金利2.0%にアップすると1,170万円の利息になります。
つまり、貯金してるよりも「低金利で借りて返済を早くスタートした方が住宅ローンは楽」なのです。
40代で子供が中学生なら難しいところ!
40代だと子供が中学生という家庭も多いと思いますが、ある意味「これから一番教育資金も必要で大変になる時期」です。
また40代で35年ローンにすると完済年齢も75歳なので、繰り上げ返済をしていなければ退職しても住宅ローンが残る計算になります。
ただ、逆に言えば35年で住宅ローンを契約するラストチャンスでもあるので40歳は悩ましいところです。
50代で「終の棲家」を考えるなら一生賃貸が良い!?
家を買うか迷うのに「終の棲家」を50代で購入するというケースもあります。
ただ、先のリバースモゲージやハウスリースバックの申し込み状況を見ていると「50~70代で家を手放す」という方が多いのも事実です。
今まで持ち家だった人が処分しだすタイミングということも踏まえると、もう一生賃貸でも良いのでは?とも思います。
一概に全ての人に当てはまるわけではありませんが「年齢を重ねてきたら賃貸で身軽な方がメリットは大きい」と考えます。
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まとめ
今回は「一生賃貸について」考えてきました。
現状は賃貸の空き家も年々増加傾向にあり、また人口は減少することから「住宅あまり」が懸念されています。
そのため、これからは借主が有利になるので一生賃貸の方が良いと言われます。
しかし、それでも「一生賃貸だと恥ずかしい」ということもあるでしょう。
その場合は「50~70代で住宅ローンの残高が生活に厳しくのし掛かる」現状もあるので、少しでも早いうちに購入に踏み切るのが良いと思います。
今後は持ち家を終の棲家にするという感覚が薄れてくる時代になるかもしれないですね。
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ここ数年「空き家問題」が取り沙汰され、管理の行き届いていない空き家については固定資産税が6倍になるという話も聞きます。
しかし、築年数の経過した空き家や地方にある空き地などは不動産屋も積極的に取り扱ってくれないので「仕方なく放置している」という方もみえると思います。
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