不動産の売買契約後に行なうことは「住宅ローンの本審査申し込み」です。
各金融機関が行なう住宅ローンの事前審査の精度は高く、虚偽報告や不告知でなければ本審査で落ちる確率は1%もないと思います。
住宅ローンの本審査が通らないケースとして、大きく
- 事前審査と本審査で申し込み内容が異なる
- 本審査の条件が満たされなかった
の2つに分かれますが、とくに事前審査と本審査で申し込み内容が異なる場合は「自分のミス」が原因というケースもあるので注意が必要です。
というわけで、ここでは住宅ローンの本審査で落ちないための注意点についてお伝えしていきましょう。
事前審査と本審査で「申込み内容」が変わった!?
冒頭で住宅ローンの本審査に落ちる確率は「事前審査で虚偽や不告知ではない」でなければ5%未満とお伝えしました。
ただ、悪気が無く知らなかったとしても、事前審査と本審査の内容が異なってしまうケースもあります。
以下、実際にやりがちな例をいくつかご紹介します。
個人信用情報に問題が見つかった!
今までにキャッシングなどを行なったことがなく、事前審査に問題なく通った後も個人信用情報には気を付けましょう。
本審査で「個人信用情報でアウトになる可能性」も少なからずあります。
- クレジットカードのリボ払い
- スマホなどの利用料が引き落としできない
- 家具家電を分割払いで購入する
など、うっかりミスで本審査に落ちることもあるので気を付けなければいけません。
また税金の未払いは一発アウトなので、住宅ローンの審査中は普段よりも多めに口座に入金しておくことをお勧めします。
事前審査から本審査の間に転職をした!
最近は転職も当たり前の時代になっていますが、住宅ローンの事前審査から本審査の間はグッと我慢して下さい。
事前審査と本審査で収入が変われば、当然落ちる可能性が高まります。
また、もし転職してしまった場合は「改めて住宅ローンに申し込むにも勤続年数的に不利」になります。
そのため、転職は「融資が実行されて家の引き渡しが終わってから」するようにしましょう。
事前審査から本審査までに、新たに借り入れをした!
家の購入と合わせて車を買い換える方は多いのですが、ここで注意したいのは「住宅ローンの融資より先に車を購入してはいけない」という点です。
仮に事前審査は通っても、本審査までに車をオートローンで購入してしまうと「毎月の返済額が増える」ので、本審査に落ちる可能性が高くなります。
車を買い換えたい場合も「住宅ローンの融資が実行されてから」であれば問題ないので、順番には注意して下さい。
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クレジットカードを新規で作るのもやめておきましょう!
また新規で借入れするわけではありませんが、クレジットカードを作成するのも本審査の前はやめておきましょう。
クレジットカードの「キャッシング枠」は、いつでもお金を引き出せることから借り入れと同じに見られます。
住宅ローンの「借入れ金額」や「物件条件」が大きく変わった!?
住宅ローンでは、3,000万円の融資を希望して事前審査に通ったとしても、本審査で必ず3,000万円申し込まなければいけないわけではありません。
返済計画が変わり、借入金を500万円減らして2,500万円で本申込みしても、内諾を取った3,000万円の枠内であれば問題ありません。
ですが、500万円追加して3,500万円で申し込みたいとなると話は違ってきます。
また、物件の面積や所在地が変わるような場合も基本的にアウトです。
とはいえ、このようなケースでは金融機関の担当者も本審査前に注意してくれると思います。
どうしても、借入金を増やしたい場合は事前審査からやり直しになります。
住宅ローンの本審査の「条件が満たされない」ケースとは?
ここまでは住宅ローンの本審査に落ちないように「自分で注意できる」ことでした。
しかし、なかには「不測の事態」で本審査に落ちてしまうこともあります。例えば
- 健康面の問題(団体信用生命保険に加入できない)
- 物件の担保評価に問題があった
などが考えられます。
団体信用生命保険に加入できなかった!?
団体信用生命保険とは、返済者が亡くなった場合に「保険で住宅ローンの残債を支払う」という生命保険です。
そのため、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険に加入することが融資実行の条件になっています。
事前審査の段階では持病の有無など自己申告ですが、本審査では病院で健康診断を受けるので、ここで何かしらの病気が見つかると本審査に落ちる可能性があります。
もし、健康面で団体信用生命保険の加入が難しい場合は、持病があっても加入が認められる「ワイド団信」や、団信加入が任意の「フラット35」などで住宅ローンの申し込みを検討してみましょう。
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物件の担保評価に問題があった!?
住宅ローンの本審査に落ちるときに、意外と多いのが「物件の担保評価に問題が見つかった」ケースです。
新築の戸建てを購入するのであれば余程問題ありませんが、中古物件だと建築基準法を満たしていなかったとか、更地であれば「埋蔵文化財包蔵地」という可能性もゼロではありません。
埋蔵文化財包蔵地とは?
埋蔵文化財包蔵地とは、古墳・貝塚・土器などが地中に埋もれている土地のことをいいます。
仮に家を建てるために土地を購入して、いざ地盤を彫ってみて土器が出て来たら「家が建てられない」です。
稀なケースといえば稀ですが、住宅ローンの審査どころか住宅計画をすべて変更しなければいけません。
通常、これらの住宅ローンの融資が実行されないことに買主の責任がない場合は、融資利用特約で売買契約はリスク無しに解除されます。
しかし、融資利用特約には、
- 「解除条件型」…融資が非承認になった場合、自動的に契約解除となる
- 「解除権留保型」…融資が非承認になった場合、解除を申し出ることで契約解除となる
解除権留保型は、解除通告期限があり「期限を過ぎると無条件解除できない」ので注意が必要です。
住宅ローンの本審査に落ちた場合はどうなる?
事前審査は「本審査に通るかの審査」なので、事前審査から内容が変わらなければ、本審査もほとんど通ります。
しかし、上記のように事前審査と内容が変わる場合は本審査で落ちることもあるので注意しなければいけません。
では、とくに落ち度もなく本審査に落ちた場合はどうなるのでしょうか?
住宅ローンに落ちた場合のために「ローン特約」がある
通常、不動産売買契約で売主・買主の都合による解除は「手付金の放棄」が必要になります。
※「払った手付金を放棄するから契約を解除させて下さい」ということです。
しかし、住宅ローンの本審査は「売買契約後」に行なわれるので、本審査に落ちて手付金の放棄では、それこそ買主は住宅ローンの本審査が不安で仕方が無くなります。
そこで住宅ローンを利用する場合、不動産売買契約書には「融資が否決となった際は契約を白紙解約にします」といった内容の特約が付くのが一般的で、これを「ローン特約」と言います。
ただし、ローン特約は期限がある!
しかし、いつまでもローン特約による白紙解除が認められているわけではありません。
一般的には「売買契約から3週間から長くても1ヶ月以内」にローンの可否を取るように期限が設けられています。
決められた期限までにローン可否を取ることが出来なければ白紙解約は認められません。
期限を過ぎて住宅ローンに落ちて購入が出来ない場合、買主の都合による違約解約と見なされ手付金は放棄となります。
やってはいけない「住宅ローン壊し」とは?
ローン特約は買主が契約をやめたいと思った時に白紙解除になるので有利な特約と考えられます。
そこで、先に書いたように本審査でやってはいけないこと
- 事前審査後に「借入れ」を行なう
- 借入れ金額を増やす
- 退職や転職をする
を行い、あえてローン特約による契約解除しようとする行為を「住宅ローン壊し」と言います。
しかし、住宅ローン壊しによる契約解除は判例もありますが当然認められるものではありません。
自らの落ち度で住宅ローンの本審査に落ちるような行為をした場合は、手付放棄や違約解除になる可能性が高いです。
ローン特約を悪用するような行為は絶対にやめておきましょう。
おわりに
今回は、住宅ローンの本審査に落ちるケースをお伝えしてきました。
実際、住宅ローンの本審査に落ちる確率は5%以下で「事前審査に通れば本審査も通る」ことがほとんどです。
その中で本審査に落ちてしまう理由としては、
- 虚偽や不告知で事前審査と内容が異なる
- 事前審査から本審査の間で「申し込み内容が変わる」ことをしてしまう
- 健康面や物件の担保評価に問題が見つかった
この3パターンです。
また、虚偽や不告知がバレずに本審査に通ったとしても「発覚した時点で住宅ローンの契約は解除される」ので、事前審査では真実の内容で申し込みしておきましょう。
事前審査に通ったら、あとは本審査までの間は「何もしないことがベスト」です。
とくに引き落とし口座には十分に入金しておいて、引き落としされないことが無いように注意しましょう。
以上「住宅ローン本審査に落ちる確率は1%!それでも落ちてしまった理由とは?」でした。
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