日本の伝統芸能はいろいろありますが、まず思いつくのが歌舞伎や能ではないでしょうか?
テレビのワイドショーなどでも歌舞伎俳優はよく見かけます。
でも実際に歌舞伎を見たことがある人はごく少数ではないかと思います。
能となるとなおさらです。
ひょっとすると歌舞伎も能も同じような演劇舞踊と思っている人もいるかもしれません。
そこで今回は歌舞伎と能の違い、そして狂言についても解説します。
本来は庶民の娯楽であった歌舞伎
芸能というと演劇やお笑い、ミュージカル、コンサートなどいろいろありますが、歌舞伎というとなんだか高尚で上流な人の粋な娯楽というイメージがあるのは私だけでしょうか?
話も難しそうですし、チケットも高そうですし、あんまり気軽に行く気にはならない感じです。
しかし、調べてみると歌舞伎は本来は庶民の娯楽芸能だったのです。
歌舞伎の誕生は江戸時代です。
出雲の阿国が始めた「かぶき踊り」が元祖とされています。
後に今のような演劇となり、江戸の大衆娯楽の花形となりました。
ちなみに市川團十郎家、尾上菊五郎家などは江戸時代から続く名門です。
歌舞伎の語源が奇抜・奇妙な格好や振る舞いを意味する「かぶく」から来ているとおり、隈取を施した派手なメイクに、セリや回り舞台など大掛かりなセット、今で言うところの派手なアクションとゴージャスな舞台が魅力の一大エンターテイメントでした。
話の内容は昔の事件をもとにしたものから庶民生活に至るまで様々で、時々の流行を取り入れるなど柔軟に楽しめるものとなっています。
なお、黒衣(黒子)、黒幕、二枚目/三枚目、十八番、奈落(の底)などは歌舞伎を由来とした言葉です。
高尚な芸能として守り継がれた能
歌舞伎が江戸の大衆娯楽だったのに対して、能は歴史も古く格調高いものになります。
能の起源については諸説ありますが、室町時代に世阿弥によって大成された猿楽が現在の能の原形であるといわれています。
歌舞伎を支持したのが庶民であったのに対して、能は高尚な芸能として時の権力や公家によって保護され、市井の人々が観ることはほぼ無かったようです。
能といえば面と能舞台が印象的ですが、面は主役となるシテと呼ばれる役者が付けるもので、翁・尉・鬼神・男・女と役により使い分けます。ちなみに歌舞伎は面はつけません。
そして能舞台ですが、こちらも歌舞伎と比べると幕や大道具すらない清楚なものとなっています。
話は神話などをもとにした悲劇が多く、過度な演出や誇張を極端に廃した舞台進行は幽玄の世界と呼ばれるほどです。
※幽玄=物事の趣が奥深くはかりしれないこと
日本最古の喜劇である狂言
現代語でも人を騙す芝居のことを狂言といいますが、実は伝統芸能としての狂言は能と合わせて能楽と呼ばれるほど、芸術性の高いものなのです。
能と同じく猿楽を起源とし、もともとは能の演目の間に行われていました。
しかし内容は喜劇が中心で、能の合間の箸休め的な存在でした。
セリフも能が「~~にて候」と文語調なのに対し、「~~でござる」と口語調です。
現在のお芝居に一番近いかもしれません。
また、歌舞伎や能が鼓・太鼓・笛などの音楽も重要な役割を担っているのに対して、セリフを中心に舞台が進行していくのも狂言の特徴です。
能舞台で演じられますが、面を付けることはありません。
おわりに
歌舞伎も能・狂言も重要無形文化財に指定されるくらい日本が世界に誇れる文化です。
伝統芸能では浄瑠璃や文楽もありますが、歌舞伎・能・狂言くらいは外国の方に聞かれた時にでも、さわりくらいをさらっと答えられるようにしたいものです。
以上、「歌舞伎と能の違いは?狂言についても解説!」で
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