住まい

容積率の計算方法!道路幅と指定される2つの容積率に注意しよう

高級マンションを購入したのに下水道がきちんと処理されない。

しかも、その原因が下水管が小さいからだったらどうでしょう?

「そんなところにマンション建てるんじゃ無いよ!」と言いたいですよね。

そこで建築基準法では、建物の大きさを規制する「容積率」を定めています。

ただ、これが接している道路などの状況で容積率が変わったりするので難しいところ。

では、そんな「容積率の計算方法」はどうすればいいのでしょうか?

というわけで、今回は「容積率について」わかりやすく解説していきましょう。

 

 

容積率(ヨウセキリツ)とは?

早速「容積率とは」何なのかというと「敷地面積」に対する「延床面積」の割合のことを言います。

それをイメージしたのが下図です。

そして、容積率の計算を行う上で重要になるのは「延床面積(ノベユカメンセキ)」となります。

 

分かりにくい!?延床面積と建築面積の違い

「建ぺい率」のところでは「建築面積」という言葉が出てきて、今度は「延床面積」と言葉も計算方法も似ているので混乱しやすいところですが落ち着いていきましょう。

建ぺい率の計算の仕方!むずかしいのは用語で計算方法は簡単です

 

おやつ
延床面積とは「建物の床面積の合計」のことを言います。

例えば、1階・2階・3階が各100㎡の建物の延床面積であれば「300㎡」ということ。

それに対して、建築面積は「水平投影面積(真上から見た建物の面積で、一般住宅であれば1階床面積)」です。

  • 「延床面積」…容積率
  • 「建築面積」…建ぺい率

ここの違いを抑えれるのが理解するコツです。

 

 

容積率の計算方法について

容積率の計算方法は、上図の右上にも記載していますが

  • 容積率=延床面積÷敷地面積×100%

で、計算できます。

例えば、敷地面積100㎡に延床面積200㎡の家を建てたら「容積率200%」ということになります。

不動
とりあえずこの計算方法を抑えておきましょう。

 

ただ、問題になってくるのは「道路や下水道などのインフラに対して、どこまでの建物(容積率)を建てて良いのか?」ということです。

その容積率の最高上限を「指定容積率」と言います。

 

「指定容積率」とは?

自分の土地だからと好きな建物を建てていたら街がメチャクチャになってしまうので、都市計画法では「用途地域」が定められています。

そして、容積率も用途地域ごとに規制されており、それが「指定容積率」です。

用途地域 原則
第1種・第2種低層住居専用地域 50.60.80.100.150.200%
田園住居地域 50.60.80.100.150.200%
第1種・第2種中高層住居専用地域 100.150.200.300.400.500%
第1種・第2種・準住居地域 100.150.200.300.400.500%
近隣商業地域 100.150.200.300.400.500%
商業地域 20.30.40.50.60.70.80.90.100.110.120.130%
準工業地域 100.150.200.300.400.500%
工業地域 100.150.200.300.400%
工業専用地域 100.150.200.300.400%
用途無指定地域 50.80.100.200.300.400%

 

例えば、第1種低層住居専用地域で「指定容積率150%」の場合、そこでは容積率150%までの建物しか建築できないということです。

では、この指定容積率はどこで調べることが出来るのでしょうか?

 

指定容積率の調べ方!

この指定容積率は、市区町村役場の「都市計画課」で教えて貰うことが出来ます。

または「市町村名 容積率」などで検索するとWEBから調べることも出来ます。(検索サービスが無いこともあります)

参照元名古屋市都市計画情報提供サービス

地番を指定して地図を見ると

上記のようなマークが記載されており、用途地域や容積率(建ぺい率)が分かるようになっています。

ただ、建ぺい率と違って容積率の計算はちょっと面倒なのが「前面道路の幅が12m未満」の時は、その道路幅からからも容積率を求めないといけないのです。

 

「道路幅容積率」とは?

道路幅容積率を求めるためには、道路幅に「法定乗数」を掛けます。

< 法定乗数 >

用途地域 原則 特定行政庁が指定した地域
住居系 40% 60%
商業系・工業系・用途無指定地域 60% 40%.80%

この法定乗数を接している「一番広い道路の幅」に掛けて計算します。

 

道路幅容積率の計算の仕方

例えば、上記の図で考えてみると、まず道路幅は「広い方の4m」で考えます。

そこに住居系なので「原則は40%」だと

  • 4×4/10=160/10(160%)

指定容積率は200%なので、道路幅容積率の方が「より小さい数字」になりました。

容積率は「小さい方を選ぶ」ので、この場合は「容積率160%が上限」となります。

容積率が「またがる」場合の計算方法

さらに、ここ複数の地域にまたがって敷地内で容積率が異なる場合はどうなるのでしょうか?

例えば、敷地面積が300㎡のうち「敷地120㎡が容積率300%」で「残りの敷地180㎡が建ぺい率100%」だったらどうなるのか?

この場合は「それぞれの地域の容積率を計算して合計」します。

 

  1. 120㎡×300%=360㎡
  2. 180㎡×100%=180㎡

になるので、敷地300㎡に建てることが出来る延床面積は

  • 360㎡+180㎡=540㎡

となり、あとは基本的な容積率の計算方法から

  • 540㎡÷300㎡×100%=180%

「容積率は180%」となります。

 


 

おやつ
これで容積率の計算方法はバッチリなんですが、1つだけ注意点があります。

それは容積率の計算の基礎となる「延床面積」についてです。

ここはポイントを絞ってお伝えしていきます。

 

 

延床面積の注意点!

延床面積は「建物の床面積の合計」とお伝えしてきました。

基本的な考えは間違っていないのですが、延床面積はいくつか「延床面積に含めない」という部分があります。

そちらについて確認していきましょう。

 

ベランダ・バルコニーとロフト・小屋収納

ベランダやバルコニーは「外壁から飛び出ている距離が2m以下」であれば延べ床面積には含まれません。(庇などがなくてもです)

2m以上飛び出ている場合は、2m差し引いて延べ床面積に算入します。

また、ロフトやミサワホームの蔵などに代表される「天井高1.4m以下・同じ階の面積の1/2以下(自治体によって条件変わる)」の場合も、延床面積に含まれません。

 

地下室とビルドインガレージ

上記は延床面積に含まないというものですが、ここからは「容積率の計算時の特例」です。

まずは地下室ですが、住居として利用する地下室は「建物全体の1/3まで容積率の計算で延床面積に参入しない」という特例があります。

例えば、地下室を含む建物全体の面積が300㎡であれば「100㎡までは地下室は容積率の計算で延床面積に含まない」ことになります。

また、ビルドインガレージの場合は「建物全体の1/5まで」容積率の計算で延床面積に参入しません。

 

ベランダなどを含める場合は「施工面積」になります

不動
「じゃあ、ベランダを含めた面積は何て言うの?」と思う方もみえるかもしれません。

なので補足しておくと、それは「施工面積」と言います。

 

「延床面積とか施工面積とか混乱するから統一しろよ!」と心から叫んでいる方もいらっしゃると思いますが、私は延床面積を「生活出来るスペース」とイメージしています。

例えば、ベランダが広くても「入居者を一人増やせるスペースにはならない」ですよね。

容積率は、道路や下水道などのインフラと関係するから「延べ床面積なんだ」と区別しています。

 

おわりに

今回は「容積率について」お伝えしてきました。

おさらいとしてポイントをまとめると

容積率とは?

  1. 容積率の計算方法は「延床面積÷敷地面積×100%」
  2. 地域によって「上限」が定められているが「道路幅」からも容積率を計算して「小さい方」を選択しなければならない
  3. また延べ床面積に含まないスペースや特例もある

建ぺい率よりも少し計算方法が難しいイメージのある容積率ですが、丁寧に1つ1つ抑えていけば大したことはありません。

 

あとは記事中にもリンクありましたが「建ぺい率」は一緒に覚えておきたいところ。

これで不動産広告で容積率と建ぺい率という単語が出てきても楽勝ですね!

以上「容積率の計算方法!前面道路と指定される2つの容積率に注意しよう」でした。

 


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