「建売を買うのに値引き交渉は当たり前」と考えている方は多いと思います。
しかし、不動産には相場があること。
また、自動車や家電製品のように薄利多売できるものではないので「値引きなし」が基本です。
でも、WEBを見ると「建売購入で300万円も値引きして貰った」というような話も見かけます。
実際に300万円も値引きされるのは異例のことですが、本当にそれだけ値引きして貰ったのなら「どうしても売りたい理由が売主にあった」ということでしょう。
では、どういったタイミングなら値引きに応じてくれる可能性が高いのでしょうか?
建売の販売開始から順番にみていきましょう。
建売の値引きはいつから出来る?
まず、建売や再生住宅は「売主も業者」なので相場からかけ離れた値付けはしません。
そのため、買主からの値引き交渉に関してはシビアな対応を取られることが多いです。
しかし、建売や再生住宅は商談状況をみて「値下げ」を行います。
建売は更地からでも値引き交渉できるのか?
建売は完成してから販売されると思っている方もみえるかもしれませんが、じつは建売の販売は更地から始まります。
会社によっては建築確認申請前であれば土地のみで販売することもありますが、申請後は申請したプランで販売します。
さすがに販売を開始したばかりの更地では、値下げはありません。
当然値引き交渉をしても「かなり厳しい」です。
基本的には値引きなしで、値引き出来たとしても端数(例えば、3,580万円の30万円や80万円)が限度でしょう。
基礎工事に入れば値引き交渉は出来るのか?
基礎工事は、家の土台を作る工事のことです。
また、残念ですが基礎工事の段階でも値下げはありませんし、値引き交渉も更地同様に難しいでしょう。
上棟まで工事が進めば値引き交渉は可能なのか?
上棟とは、柱や梁などを組み立て屋根の一番上にある棟木(むなぎ)を取り付けるまでを言います。
工事も半分ほど進みましたが、まだ値下げは始まりません。
やはり更地や基礎工事と同じように値引き交渉は、よく出来ても端数が限度ということが多いです。
建売は未完成でも約4割が売れている!?
建売は個人では購入出来ない広い土地を分譲して販売するので「立地の良い」物件が多いです。
とくに学区指定などで希望するエリアがあるのであれば「売れてしまう前に買いたい」という方も多く、名古屋市では新築一戸建ての約4割が完成前に売れています。
また、建売は工事過程が確認出来ないことがデメリットに挙げられますが、契約が早いほど
- 場所を選べる
- 建築過程を見ることが出来る
というメリットから「売れやすいことを売主側も分かっている」ので、値下げもしませんし値引き交渉も難しいのです。
ここまでの内容を簡単にまとめると、未完成物件については値引きは難しいです。
ほとんどの場合は値下げもありませんし、値引き出来たとしても端数カットくらいだと思います。
では、どのタイミングだと値引きの可能性があるかというと「完成後」です。
完成した後は値下げも随時行われていきます。
建売は早いと完成直後から値下げが始まります!
もちろん売主によりますが、早いところだと完成直後に値下げをすることがあります。
そのため、狙っている建売物件があるなら完成後は要チェックです。
完成から2,3ヶ月が経過すると値引き交渉は可能か?
よく建売の値下げの時期を聞かれるのですが、これも売主が商談状況から判断して随時行うので一概に言えません。
しかし、完成から2,3ヶ月価格変更がなければ値引きに応じてくれる可能性は高いと思います。
また値下げ後も2、3ヶ月様子を見て、売れ行きが悪ければ更に値下げをするというようなケースが多いです。
ただ、最近は建売は値下げされることが知られているのか「値下げのタイミング」を狙っている方が増えてきました。
そのため、値下げしたら買うでは「先を越されて買えない」ことがあります。
値下げのタイミングは週明けが多い!?
ちなみに売主(建築会社)の規模にもよりますが、土日の商談状況を踏まえて会議を行うため、値下げのタイミングは週明けの月曜日もしくは火曜日に行われることが多いです。
ただ、スーモなどでチェックしても「物件情報の更新は翌日反映される」のでワンテンポ遅れます。
いち早く情報を知りたい方は仲介業者に伝えておくと良いでしょう。
完成から半年経過する物件は値引きの可能性は大きい!?
新築は完成から1年経過すると「未入居でも中古戸建て」になります。
やはり売主としても「そうなる前に売り切りたい」ので、完成から半年過ぎ出すと値引き交渉は応じてくれやすい印象があります。
とくに半年過ぎても売れ残っているようであれば、一度の値下げで100万200万と一気に値下げすることが多いです。
そして、それまでに何度か値下げを繰り返しているのですから、WEBで見かけるような300万円や400万といった高額な値引きは難しいことがほとんどです。
そもそもWEBの話が本当かどうか分かりませんが、もし可能性があるとしたら次のようなタイミングだと思います。
値引き交渉に応じてくれやすいタイミングとは!
どこの建売業者でも買主からの値引き交渉には簡単に応じてくれませんが、私たち仲介業者の場合は「売主から値引きを提案される」ことがあります。
「値引きしても売り切ってしまいたい」ということが売主にはあるんですね。
決算期は「条件付き」で値引きに応じてくれやすい!?
決算期は値引き交渉しやすい時期になります。
実際に「決算期までに決済出来るなら〇〇万円値引きしますよ」というように、売主の担当者から提案してくれることもあります。
決済とは契約金の支払いが完了することで、住宅ローンを利用する場合は事前審査から決済まで1ヶ月半ほど掛かります。
ですから、3月が決算期だから3月に契約するのでは遅いのです。
決算期を狙って購入を検討している場合は、1月には動き出す必要があります。
通常月でも契約や決済を条件に値引きに応じてくれることも!?
ちなみに条件付きで値引きに応じてくれるのは、決算月以外にも年度末でもよくあります。
また、場合によっては「通常月でも担当者の売り上げの関係」などで条件を提示されることがあるので、安く買えるチャンスなので出来るだけ応じることをお勧めします。
最終一棟は値引きしてくれやすい!?
実際に300万円の大きな値引きに応じてくれたケースがありました。
どうしても買主の予算が出なくて、ダメ元で売主の担当者に相談したところ
- 最終一棟で売り切ってしまいたい
- 先に売れた物件で利益が確保出来ていた
ということから300万円の値引きに応じてくれました。
「ダメ元で値引き交渉して」はお勧めしません!
よく「ダメ元で300万円値引き交渉して」という方が見えます。
私たち仲介業者は担当者から「値引き可能なラインなどを事前に聞いていたりする」のですが、その上で値引きは無理だと伝えても「いいからダメ元で」と食い下がってきます。
会社の規模によりますが、建売の値下げや値引きは「社内で稟議をかけて決まる」ことが多く、担当者もダメ元の金額で上司に相談しても怒られるだけなので、無理な交渉は担当者の心証を悪くするだけです。
結果、最悪なのは欲しい物件だったにも関わらず「売主に販売を拒否されて購入出来ない」というケースです。
最近はWEBの情報を鵜呑みにする方が多いのですが、実際にこういったケースは一度や二度ではありませんので気を付けて下さい。
建売を販売している会社にもよりますが、業界最大手の「飯田ホールディングスグループ」であれば値下げは早い段階から行います。
ただ、どこの建売業者も値下げを行った後に「さらに値引き」というのは応じてくれません。
建売を安く買うコツとして、値下げの時期には注目したいですね。
値引き交渉は買付け申込みを入れる前にやりましょう!
よく物件を探している段階で「いくら値引き出来ますか?」と訪ねてくる方がいます。
ですが、値引きに応じるかどうか決めるのは売主であり、まだ買うかも分からない人に値引きの話をされても相手にしてくれません。
値引き交渉のタイミングは、
- 物件購入を決めて
- 申込み前
に行うのがベストです。
申込みは契約ではないのでキャンセルしてもペナルティーはありませんが、申込みは「この内容で買います」という意思表示を行うものです。
そして、売主からも「その内容なら売ります」という回答があってから「売買契約」に進みます。
申込み後の値引き交渉は、その意思表示を反故にすることになります。
実際に申込み後の値引き交渉で「物件を売らない」と言われたケースもあるので注意して下さい。
まとめ
最近はWEBの情報が正しいと信じて疑わない方もみえます。
そういった方は私たち仲介業者の声もなかなか届きませんが、基本的に値引き交渉はプロに任せた方が上手くいきます。
私たちは「売買が成立する」ことで手数料が頂けるのであって、高く物件を売ることが目的ではありません。(売主は高く売りたいでしょうけど)
不動産売買は「売主は高く売りたい」ですし「買主は安く買いたい」ので、どちらか一方の言い分だけを通すような交渉は成立しません。
市場や相場、売主買主の事情などを勘案して、売買が成立するように仲介業者は動きます。
値引き交渉も「出来るようなら積極的にする」ので、ぜひ相談して頂きたいと思います。
以上「建売の値引き交渉はプロに任せる!成功も失敗もタイミング次第です」でした。
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