「建売住宅は何年くらい住めるの?」
建売の購入を検討している方によく頂く質問ですが、きっと建売住宅は寿命が短いと心配されているのだと思います。
たしかに戦後に建てられた家は品質が良くなく、寿命が短く取り壊しされる期間が短かったです。
しかし、今は「建てて取り壊す」ではなく「建てて長く住む」という方向に進んでおり、これは建売でも一緒です。
では、今の建売住宅の寿命はどれくらいなのでしょうか?
具体的な指標を踏まえながら解説していきましょう。
建売住宅の寿命は一体どれくらいなの?
建物の耐用年数として「法定耐用年数」があります。
法定耐用年数とは「財務省が定めた”資産”としての耐用年数」で、木造住宅の法定耐用年数は22年です。
減価償却で使われるので馴染みがあるかもしれませんが、実際に建物として使用できる年数の目安と考えると微妙な気がしますよね。
本来の住居としての耐用年数を考えるなら「期待耐用年数」が参考になりそうです。
期待耐用年数とは?
期待耐用年数とは、国土交通省が作成したレポート「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」に出て来ます。
このレポートに出てくる耐用年数は次の3つがあり、建物の寿命として考えるなら「期待耐用年数」が適していることが分かります。
- 「経済的耐用年数」…経済的に市場性を有するであろうと考えられる期間(寿命が短い)
- 「期待耐用年数」…建物としての機能を発揮すると期待できる、部材やシステムの耐用年数
- 「物理的耐用年数」…同一環境下での部材そのものの物理的耐久年数(寿命が長い)
参考元:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について
上の図を見て頂くと「木造住宅の平均寿命」は1983年の調査では48年でしたが、2011年の調査では64年まで伸びています。
建売でも全体的に寿命は延びていると考えられそうですが、具体的に何年住めるかはピンと来ません。
そこで注目したいのは黄色マーカー部分の「劣化対策等級」です。
劣化対策等級とは?
劣化対策等級とは、住宅性能表示制度の「評価項目」のひとつです。
住宅性能表示制度は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいた制度で、 国に登録されている第三者機関が共通基準をもとに評価します。
等級は1から3段階まであり、次のようになっています。
- 等級1…建築基準法が定める対策が講じられている
- 等級2…通常想定される自然条件および維持管理条件の下で2世代(50年~60年程度)まで長持ちするように対策が講じられている
- 等級3…3世代(75年~90年程度)まで長持ちするように対策が講じられている
飯田グループの建売住宅の寿命は?
建売住宅の業界最大手と言えば「飯田グループホールディングス」です。
- 一建設
- 飯田産業
- タクトホーム
- アーネストワン
- アイディホーム
- 東栄住宅
各社それぞれ独立しているので、住宅性能表示制度で取得している項目は異なりますが順番にみていきましょう
一建設は「5項目」で最高等級取得!
参考元:一建設
一建設は5項目で最高等級を取得しています。
そのうち劣化対策等級も等級3になりますので、住宅性能表示制度に基づけば75~90年程度は寿命があると考えられます。
飯田産業は「6項目」で最高等級取得!
参考元:飯田産業
飯田産業は6項目で最高等級を取得しています。
劣化対策等級についても等級3になりますので、住宅性能表示制度に基づけば75~90年程度は寿命があると考えられます。
タクトホームは「7項目」で最高等級取得!
参考元:タクトホーム
タクトホームは「在来工法」と「IDS工法」があり、IDS工法では7項目で最高等級を取得しています。(在来工法は4項目取得)
劣化対策等級は共に最高等級3を取得しているので、住宅性能表示制度に基づけば75~90年程度は寿命があると考えられます。
アーネストワンは「4項目」で最高等級取得!
参考元:アーネストワン
アーネストワンは4項目で最高等級を取得しています。
劣化対策等級についても等級3を取得していますから、住宅性能表示制度に基づけば75~90年程度は寿命があると考えられます。
アイディホームは「4項目」で最高等級取得!
参考元:アイディホーム
アイディホームは4項目で最高等級を取得しています。
劣化対策等級についても等級3を取得。住宅性能表示制度に基づけば75~90年程度は寿命があると考えられます。
東栄住宅は「4項目」で最高等級取得!
参考元:東栄住宅
東栄住宅は4項目で最高等級を取得しています。
さらに東栄住宅は「長期優良住宅」も取得しているので、飯田グループの中でも安心度は最も高いでかもしれません。
もちろん劣化対策等級についても等級3を取得で、75~90年程度の寿命があると考えられます。
飯田グループ6社は全ての会社で「劣化対策は最高等級3」を取得しています。
住宅性能表示制度は、第三者機関が「評価方法基準」をもとに評価しますので、ネットの噂よりもよほど信憑性が高いです。
劣化対策等級が分からない建売の寿命はどうなの?
住宅性能表示制度の劣化対策で等級2や3を取得していると、建売でも寿命が50年以上あることが分かりました。
では、逆に取得していない建売だと寿命は短いのでしょうか?
戸建て住宅の寿命は30年もあり得る!?
私たちが不動産査定を行う際に、不動産流通推進センターが提供する「価格査定マニュアル」を利用することがあります。
こちらは既存住宅の査定に用いられるので新築の査定は出来ませんが、基礎や躯体のグレードの目安は次のようになっています。
- AAAランク…長期優良住宅相当(耐用年数100年)
- AAランク…劣化対策等級3相当(耐用年数75年)
- Aランク…劣化対策等級2相当(耐用年数50年)
- Bランク…昭和60年以降に旧公庫融資を受けている(耐用年数40年)
- Cランク…上記以外(耐用年数30年)
法律や建築方法も変化している!?
ただ、昔と今では法律や建築方法も変わっており、とくに耐震基準は1981年に大きな見直しがありました。
具体的には、震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れるという「現在でも義務づけられている耐震基準」に改正が行われました。
そういった地震に対する観点から、屋根に関しても重量のある瓦から「スレートや金属屋根(ガルバリウム鋼板など)重量の軽い」材料が一般的になっています。
また、基礎も昔は布基礎(点で支える)が標準でしたが、今はベタ基礎(面で支える)が主流ですし、基礎の高さも40cm以上(昔は20~30cm)になっており、床束も木製から鋼製束に変わっており、シロアリなどの被害も大幅に軽減されています。
これから建売を買うのに寿命を心配する必要は無い!?
ここまで色々とお伝えしてきましたが、建売が安かろう悪かろうというのは過去の話です。
不動産業界に身を置く私が言うのもなんですが、不動産や建築業界はトラブルが多い業界です。
しかし、不動産は生活と切り離せない大事な分野なので「大きな問題があれば法改正が入る」ことになります。
住宅性能表示制度も「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき平成12年に施行されました。
そうやって不動産業界も改善されて今があるので、これから新築一戸建ての建売を購入される方が家の寿命を心配する必要はありません。
おわりに
建物の寿命は、建築された時期や施工技術で変わります。
そのため「何年くらい住めますか?」というのは難しい質問ですし、建築士でもない私たちが答えるのも正直信用に欠けますよね。
ですが、住宅性能評価書を取得されている住宅であれば「取得している等級」が目安になります。
また、フラット35を利用するには適合証明書の取得が必要になりますが、これには竣工現場検査があります。
適合証明書が取得できれば「劣化対策等級2相当」と考えられるので、耐用年数は50~60年はあると考えられます。
今の建売住宅でフラット35が利用できない物件を探す方が大変だと思うので、最低でも建売の寿命は50年以上と思って良いのでないでしょうか。
実際、劣化対策等級3を取得している建売も多いので、平均を取ればもっと伸びそうですけどね。
以上「建売住宅は何年住める?寿命の目安となる具体的な指標があります!」でした。
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