住まい

マンションが老朽化してきた!立ち退き以外に入居者がとれる方法とは?

突然ですが、あなたはマンションが老朽化すると最後はどうなるかご存知ですか?

いくら鉄筋コンクリート造が多いマンションでも、建物は必ず老朽化します。

ゆえに「マンションに一生暮らすぞ!」と思ってマンションの購入を検討されている方であれば、マンションが老朽化したらどうなるのかは是非とも知っておきたいところ。

(「同潤会上野下アパートメント」84年の歴史を経て2013年6月ついに解体)

とくに今までマンションに住んだ経験が無い方だと「建て替えでも取り壊しでも大変」ということは想像できても、一体何がどうなるのかわかりません。

仮に建て替えるなんてことになったら、自分の負担費用は一体いくらになるのでしょうか?

また、これから中古マンションの購入を検討している方にとっては、老朽化が進んでいるマンションを買いたくないということもあるでしょう。

というわけで、今回は「マンションが老朽化したら一体どうなるのか?」あらゆる面から詳しく解説していきます!

 

 

マンションが老朽化したら最後に選ぶ「3つの選択肢」

マンションが老朽化したら選べる選択肢としては以下の3つ。

  • 建て替え
  • 立ち退き
  • 取り壊し

とはいえ、この3つから選ぶと言ってもマンションは入居者が大勢いるので「どれか1つを選ぶ」にしても大変なんです。

不動
まずは、それぞれを選んだ先にどうなるのかを見ていきましょう。

 

マンションの「建て替え」は満場一致じゃなくても行える!?

例えばマンションが老朽化し、いざ建て替えの話が出たとしても必ず起こる問題が「住民の一部がマンション建て替えに反対すること」です。

まあ、当然と言えば当然ですけども。

もちろんマンションの建て替えは全ての住民に影響がある話なので、反対している人がいると簡単に建て替えはできません。

ただし、そんな時のためにマンションの建て替えは「区分所有法」によって、

区分所有者全体の4/5(80%)が同意すればマンションの建て替えは出来る

という決まりが定められています。

おやつ
つまり10世帯の住戸があるマンションなら8世帯が同意すれば、残り2世帯が反対しても建て替えが可能となるんですね。

 

建て替えを反対している住民はどうなる?

では、建て替えを反対している世帯はどうなるのかというと「立ち退き」をしてもらうことになります。

ある意味「建て替えたくなかったら出ていけ!」と言われているようですが、その際は区分所有している割合分の保証を行うことで立ち退いてもらうことになります。

しかし、この保証が「立ち退きする住民との間に開きがあり」これも簡単にまとまらないので大変です。

実際にマンションの建て替えが行われているケースの例は非常に少なく、H29年の4月でマンションの建て替えを実地している件数は、わずか256件しかありません。(国土交通省のデータより)

それに対して、H28年末で築年数50年のマンションは4.1万戸。

不動
築40年と合わせると63万戸を超えているのですから、以下にマンションを建て替えるのが難しい問題なのかが良く分かります。

 

建て替え反対派には「売渡請求権」が行われる!

まず簡単に「売渡請求権」を説明すると、建て替え反対者に半ば強制的に時価で建替組合に売り渡すように催告できる権利です。

半ば強制的というのは売渡請求は「形成権」とされ、権利者の意思表示によって法的な効果を生み出されるようになっています。

具体的には、

  1. 建替え決議が成立したら、反対者に書面で「建て替えに参加しますか?」という意思確認を催告します。
  2. 催告者は期間内に回答を行わない場合は「不参加」とみなされ、建て替えに参加しない区分所有者の持ち分が確定します。
  3. 売渡請求権を行使する意思表示が反対者に届くと、時価による売買契約が成立します。

つまり「私は絶対に建て替えしたくないから立ち退きもしません!」と言っても、売渡請求の催告が届くと契約は成立してしまうわけです。

しかし、急に出て行ってくださいと言われても反対者の方も困るので立ち退き代金の支払いから1年の間は次の入居者先を見つける猶予(明け渡し期限の猶予)が与えられます。

また「時価」については、

「新しいマンションが建築された建物と敷地利用権の価格」-「必要な経費」

が、時価の基準とされるのが一般的です。

 

売渡請求に関するお金の問題

売渡請求が行われる場合は、いろいろお金に対する疑問も出てくると思います、

例えば、反対者の持ち分に対する買い取り費用は一体誰が支払うのでしょうか?

こちらについては、基本的に「建て替えに賛成した人」が買い取ることになっています。

しかし「これからマンションの建て替えなのに自分のことで精一杯です」という賛成者の方がほとんどですから、建て替え事業を行う建設会社や不動産会社が買い取ることもあります。

また、今までに積み立ててきた「管理費や修繕積立金」については、建物の持ち分に合わせて所有者に戻されます。

 

このように見ると売渡請求は、マンション建て替えを反対している人たちにとって厳しい権利と言えます。

マンションの建て替え費用は、今まで積み立ててきた修繕積立金で賄えることはほとんどありません。

下手をすると新しいマンションを購入するぐらいの費用が必要になる場合もあります。

そのため建て替えを反対される方は多いのが現状で、半ば強制的に立ち退きも進めて行かないと「老朽化のため建て替えが必要な状態のマンションばかり」になってしまう恐れがあります。

おやつ
そういった観点で考えると「売渡請求」は必要になってくるのでしょう。

 

マンションを建て替えしないのであれば「取り壊し」に!?

マンションを建て替えしないということであれば、選択肢は「取り壊し」になります。

マンションが老朽化して建て替えをせずに取り壊すだけの場合、単純に「区分所有している割合で保証を行う」だけになりますが、規模によってはこれもなかなかのお金が必要になりそうです。

ただ、場合によっては「取り壊しよりも建て替えの方が得」で、自己負担金なしで建て替え出来るというケースもあります。

というわけで、次に「マンション建て替えの費用」について解説していきましょう。

 

 

マンションを建て替える際の「費用」について

マンションの老朽化が進み、いざ建て替えの話になると問題になるのが「費用」の話。

まずマンションの建て替え費用ですが、基本的に区分所有者が払っている「修繕積立金」がその原資になります。

しかし、それだけで建て替え費用をまかなえることはまずありません。

足りない費用は区分所有者の負担になり、これがマンション老朽化の際の建て替えで最大の障壁となります。

不動
ただ、最近はその区分所有者の負担をなしでマンションの建て替えをする事例も多くなってきているんです!

 

「容積率」に余剰があれば自己負担0円で建て替え出来る事例も!

容積率とは、敷地の面積に対してどれくらいの床面積の建物を建築できるかの割合のことですが、昨今マンションを取り巻く法律が多く改正され容積率は緩和傾向となり、老朽化したマンションには意外と余った容積率が多くなってきています。

この容積率に余裕があれば、建て替え時に今までよりも大きなマンションを作り「その部分の売却益を建て替え費用に充てる」ということも可能なのです。

事例によっては、老朽化した低層マンションを超高層マンションに建て替え、自己負担金なしで建て替え費用をまかなったといううケースもあります。

これは容積率に余裕が無ければ出来ないのですが、これが可能であれば建て替えを反対していた住民も賛成に回る可能性もあり最も番トラブルにならない方法と言えます。

マンションが老朽化して建て替えを検討する場合は、必ず現在の容積率や法規制を確認し、可能であれば老朽化したマンションよりも大きなものを計画するようにしましょう。

 

マンションの建て替えを検討する「年数」は?

マンションの建て替えがあることを考えれば、中古マンションを購入する方は「逆算して使用可能な年数」というのも気になるところ。

最新の構造形式なら「築100年」というものもありますが、バブルの時期に建てられらマンションでは「築30年から50年」が一つの目安と言われています。

また、マンションの建て替えは何度か大規模修繕が行われ、その修繕では対応仕切れないレベルまで老朽化が進んだ時に検討されます。

中古マンションを購入する目安として、大規模修繕が行われるということは「老朽化もかなり進んでいる証拠」なので、徐々にマンション建て替えの時期が近くなってきていることの裏付けとも考えられます。

中古マンションの購入を検討されている方は、

  • 築年数から建て替え時期を逆算する
  • 合わせて現行法による容積率の緩和があるか?

などを事前に調べておくと「買った後に失敗した」という後悔は防げそうです。

 

 

マンションの限界って何年なの?

まず「マンションの寿命=倒壊」とした場合、日本のマンションは寿命になっても「建物が倒壊」してしまうことは考えにくいです。

日本のマンションは「建築基準法で構造が強固なものになるように定められている」ので、ひび割れや破損はあっても「倒壊」まで至ることはほぼありません。

最近のマンション広告では「100年経っても大丈夫」みたいな宣伝文句もありますが、倒壊しないということで言えば嘘ではないと思います。

もちろん想定外の大地震が起きたときは倒壊の可能性もありますが、鉄筋コンクリート造のマンションが倒壊するなら「他の建物」も軒並み倒壊していることでしょう。

ただ、マンションの寿命を「人が住むには危険」という基準で考えた場合は、マンションで最も多い構造形式の「鉄筋コンクリート造」で寿命はおおよそ30~50年。

「鉄骨鉄筋コンクリート造」でも50年前後の寿命になります。

しかし、これはどちらも鉄筋や鉄骨などの「躯体」に問題が出るのではなく、どちらも利用している「コンクリートに限界」が訪れるのです。

 

コンクリートの寿命は50年!?

法政大学の溝渕利明教授は「コンクリート崩壊―危機にどう備えるか」で、以下のような条件によってコンクリートは早ければ50年が寿命と述べられています。

  1. 温度・湿度
  2. 水分量
  3. 二酸化炭素濃度
  4. 塩化物
  5. 砂や砂利の材質

コンクリートが寿命に近づき強度が弱くなって来れば、ひび割れや剥離などが発生します。

結果、内部の鉄骨を錆びさせたりコンクリート落下の事故などに繋がってしまうので「人が住む」という観点で考えるとマンションといえども築年数の限界は50年と考えられるのです。

では、仮に中古マンションを購入する時は「築年数50年のマンション」は、すぐに寿命が来てしまうので購入する価値はないのでしょうか?

次にそちらをみていきましょう。

 

マンションが老朽化することで発生する問題は?

マンションが老朽化してくると色々なサインが出てきます。

その中でも最初に出てくるのが「ひび割れ」です。

ひび割れを放置すればコンクリートの剥落にもつながりますし、他にも「配管詰まり」「防水が切れによる水漏れ」など老朽化による問題は色々あります。

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いずれにしても、その対応次第でマンションの老朽化を食い止めるか否かが決まってしまいますから、中古マンションの購入を検討してる方は要チェックですよ!

 

マンションのひび割れが放置されていると…

ひび割れをそのまま放置してしまうと「雨水が侵入」して、マンションの老朽化を一気に進めてしまいます。

逆にひび割れが発生しても、すぐに修繕を行えば老朽化の抑制も可能です。

ゆえにマンションを購入する際のポイントとして覚えて頂きたいのは、マンションの老朽化は「築年数」だけで推し量ることが出来ないということ。

築年数が新しいものでも、ひび割れが多く補修もされていないマンションは、寿命も短く老朽化が早い可能性が大です。

配管の老朽化で水が流れないトラブルも!?

配管なども老朽化すると中が詰まってしまい、給排水が流れないという問題に発展します。

そのためマンションの配管洗浄など様々なサービスや製品もありますが、正直その効果が目に見えて確認出来ないため効果においては私もはっきりとは言えません。

エレベーターや照明などの設備は目に見えて老朽化がわかりますし、交換すれば対応できますが、建物本体に関わる老朽化は実害がでるまでなかなか発見されないのが常です。

 

防水は細かな補修が寿命を延ばす!

ひび割れ以外では、床や屋根の防水切れも老朽化の問題として上がります。

床や屋根が老朽化すると、直下への水漏れの原因になってしまいます。

床や屋根の老朽化に対する改修は、根本的な原因を正すためには大規模な修繕が必要になってしまうので、まずは簡易な対応を行うのが先決です。

大規模な改修までその対応を繰り返して繋ぐことが重要といえます。

ちなみにこれらのマンション老朽化への対応を怠ると、その後は壁などからコンクリートが剥落したり、上階から水漏れしたり、様々な支障が出てきてしまいます。

現在入居中の方であれば、マンションの目に見えた老朽化を発見したら、いち早く管理会社に報告し適切な対応をしてもらうようにしましょう。

 

マンションの老朽化はドンドン進む!最後はどうなる?

ここまで「マンションが老朽化したらどうなるのか?」という話をしてきましたが、マンションの老朽化問題は「今後」より注目されていきます。

というのも、築30年~50年のマンションは、これからドンドン増えていき平成33年には200万戸を超え、平成48年には500万戸を超えると予想されています。

それに対して、マンションの建て替え件数が現在約250戸では社会問題になってもおかしくないでしょう。

ですから、これからマンションの老朽化問題が進むにつれ最後というか今後どうなるかというと、あくまで私の予想ですが「国からの対策が何かしら講じられる」のではないかと思っています。(実際大変な問題になると思いますし)

マンションの建て替えや立ち退きに直面する時が訪れた時に、もしかしたら何かしらの救済案があるかもしれません。

おやつ
入居住民だけで話合いをしてトラブルに発展する可能性もありますから、ぜひ専門家に話を聞くなどしてみてくださいね。

 

 

マンションの寿命を長くするために出来ること!

適切な修繕を行っていても、マンションの寿命が来れば「建て替え」の話も出てきます。

分譲マンションは、区分所有者の80%が賛成すれば建て替え決議が承認されますので、全員賛成でなくてもマンションの建て替えは可能です。

また、マンションが寿命で非常に危険な状態にある場合は、区分所有者の賛成が80%に満たないときでも建て替え決議は可能ですが、これが簡単に話が進まないのがほとんどです。

 

マンションの診断を行うことも大切なポイント!

マンションの建て替えは新しい建物を設計する時間はもとより「マンションの住人同士の建て替えの権利調整など」で、とても時間がかかります。

そのため「見た目にボロも出てきているし、そろそろ築年数も限界かな?」という段階で動き出していたら調整している間にマンションがどんどん劣化していきます。

ですから、マンションは寿命になる前に「建築士などの専門家に建物を診断してもらう」こともマンション管理として大切なポイントです。

その診断で「補修で対応可能なのか?建て替えが必要なのか?」早い段階でわかってくることでしょう。

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その上で建て替え決議などに掛かる時間も逆算した上で「修繕に備える」ことがマンションに長く住むために大事なポイントと言えますね。

 

マンションの管理は「修繕履歴」でチェックしよう!

マンションの管理がきちんとされているか否かを判断する際、わかりやすいのはマンションの「修繕履歴」を確認することです。

修繕履歴は、該当マンションの管理組合で保管されているはずなので確認してみましょう。

定期的に修繕が行われていればよいのですが、逆に修繕がほとんど行われていなかったり、さらに修繕履歴すら残っていないマンションは要注意です。

修繕履歴で確認したいポイントは、

  • 屋根防水
  • 外壁補修
  • 給排水設備
  • エレベーターなど共有部分 …etc

こういったポイントの管理が行き届いていないと、同じ時期に同じ会社で建てたマンションだとしても耐久年数は大きく変わります。

マンションの寿命はこの「管理」1つで大きく変わりますので、「築年数」よりも「管理のされ方」を必ず確認するようにしましょう。

 

 

おわりに

マンションが老朽化すると「建て替え」「立ち退き」「取り壊し」の3つから選ぶことになりますが、どちらにしてもお金が掛かることなので入居住民が満場一致で話が決まることは少ないでしょう。

ただ、その中で「マンションの建て替え費用の自己負担なし」が出来るケースとしては容積率に余裕がある場合。

今のマンションよりも大きなマンションを建てて、その分を不動産業者に買い取ってもらう。

「今、まさにマンションが老朽化して建て替えか検討している」という方は、一度容積率については調べてみましょう。

すべてのマンションで可能なケースではありませんが、どちらにしてもマンションの老朽化が進んだ時は「自己負担なしで建て替え出来る方法を模索する」という姿勢は大事なのかなと思います。

以上「マンションが老朽化してきた!立ち退き以外に入居者がとれる方法とは?」でした!

 


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