「抵当権と根抵当権の違いって何ですか?」
根抵当権は家の購入ではあまり馴染みはありませんが、たまに賃貸の物件で根抵当権が設定されているので上記のような質問をされることがあります。
根抵当権については「民法」に小難しく書かれています。
第398条の2(根抵当権)
- 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
- 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
- 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
今たぶん読み飛ばした
と思うのですが、このように民法の解説はとても難しいです。
ですから多くのサイトで要約されていますが、それでも「一定の範囲に属する不特定の債権を担保する目的で設定する抵当権」というような感じで、正直まだ難しいと思います。
というわけで、今回はもう一歩踏み込んで「根抵当権とは何なのか?」わかりやすくお伝えしていきます。
根抵当権は「クレジットカード」と一緒!?
「根抵当権とクレジットカード」
厳密に言えば一緒ではないのですが「似ている」ので、根抵当権を理解する上でのイメージ材料としては持ってこいです。
クレジットーカードは決められた利用額の中であれば何度でも買い物できますよね。
例えば、利用額が10万円であれば「1万円の商品を10回購入」しても「5万円の商品を2回購入」しても問題ありません。
同様に決められた極度額(ご利用限度額みたいなもの)の中であれば、お金を借りる度に抵当権を設定しなくても借り入れ出来るのが「根抵当権」です。
なぜ根抵当権が出来たのか?
家を買うときに設定される抵当権は「住宅購入費3,000万円の融資に対して家を担保にします」というように、一度の借り入れで済む話であれば良いのですが「何度も借り入れしたい」というようなケースでは不都合もあります。
具体的には、抵当権を設定や抹消する度に「登記」を行えば、司法書士に支払う手数料や登録免許制が勿体ないです。
ですから、
- 「抵当権」…一度の借り入れで返済金額を確定
- 「根抵当権」…極度額の範囲であれば”何度でも”借り入れ可能
という大きな違いがあります。
クレジットカードと違う点もある!?
決められた極度額の中で何度でも借り入れや返済が出来る根抵当権ですが、クレジットカードと違うのは「利用目的」が定められること。
クレジットカードの場合は限度額内であれば何を購入しても自由です。
しかし、根抵当権の場合は「一定の範囲に限った債権」である必要があります。
また極度額の変更もクレジットカードであれば「発行元の金融機関が利用額をアップをOK」すれば済みますが、根抵当権の場合は他の抵当権者の了承が必要になります。
抵当権は「順位によって他の債権者よりも返済を優先される権利」なので、勝手に極度額を変更すれば以降の債権者の返済に影響が出ます。
ですから、この辺もクレジットカードとは異なってきます。
ここまでざっくりと根抵当権について解説してきましたが、基本的に「商売をされている方」でないと根抵当権に関わる機会は少ないと思います。
では、賃貸や購入などで根抵当権のある物件に間接的に関わるような場合はどうなるのでしょうか?
根抵当権の賃貸物件を借りるのはヤバイ!?
冒頭でもお伝えしましたが、賃貸ではアパートに根抵当権が設定されていることがあります。
また、抵当権や根抵当権については重要事項説明を行うのですが、両方とも
- アパートの所有者(抵当権設定者)が返済不能になり、アパートが競売に掛けられ落札者から退去を求められれば6ヶ月以内に出て行かなければならない
というルールがあります。
というのも、アパートを競売に購入した落札者も「投資物件」と考えているので、せっかく現在入居してくれている方を追い出して、新たに入居者を募集するようなことはしません。
また、ほとんどの賃貸物件は銀行から借り入れがあるので「抵当権(根抵当権)が設定されている」ものです。
ですから、賃貸物件に根抵当権が設定されていたとしても「借主(入居希望者)」の立場としては、絶対とは言えませんがあまり気にしなくても大丈夫でしょう。
根抵当権がついている家を買うのは危険!?
では、根抵当権が設定されている「家を購入する」のはどうでしょうか?
民法では根抵当権が設定されていても「使用や売却は自由に行える」のですが、実務上は抵当権を消滅させることが一般的です。
そうしないと前の所有者が返済を滞らせた場合に「せっかく購入した家を競売に掛けられる」ことになるからです。
ただ、注意点として根抵当権を証明させるには「元本確定請求(根抵当権で反復継続して借り入れるのは終了して、あとは抵当権と一緒のルールにする)」を行う必要があります。
また「元本確定期日を定めていない」場合は、民法で3年に経っていないと抵当権設定者から元本確定請求が出来ません。
小難しい話なんですが、とりあえずは「根抵当権は消滅するか?」を根抵当権を設定している金融機関に確認することが大事ということですね。
根抵当権が設定された不動産を相続したら?
さて、賃貸や購入では大きな問題にならない根抵当権ですが「相続」となると注意が必要です。
とくに「根抵当権を利用していきたい」と考えている場合は、相続開始後6ヶ月以内に指定債務者の登記をしなければ元本が確定します。
指定債務者の登記とは、複数の被相続人の誰が新たに根抵当権設定者になるかを決めて登記することです。
民法第398条8の4
4. 第1項及び第2項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
また、実際にさらっと書いていますが、実際は「被相続者全員を一度根抵当権設定者にしてから、金融機関と被相続者全員で誰を指定債務者にするか決めて…」と、かなり複雑で手間暇が掛かります。
おわりに
今回は「根抵当権について」お伝えしてきました。
根抵当権は少し難しいのですが、ポイントを簡単にまとめる
- 根抵当権は、極度額を限度に反復継続して借り入れが出来る
- 性質的にクレジットカードやカードローンに似ている
- 賃貸で借りる物件に根抵当権が設定されていても、とくに気にする必要はない
などがあります。
あとは抵当権と比べて、根抵当権は「相続」だと少し注意が必要というところでしょうか。
賃貸の重要事項説明で目にしても「なんだこれは!」と、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。
また、もっと身近な抵当権については以下の記事で詳しく解説しているので、宜しければ合わせてご覧下さい。
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抵当権とは?わかりやすく抵当権設定の有無を比較してみましょう!
住宅ローンの契約時に出てくる「抵当権」ですが、よく分からないけどハイハイと頷いている方も多いのではないでしょうか? また、抵当権が設定されると「競売に掛けられるかもしれないんでしょ?」とハラハラしてい ...
以上「根抵当権とは?わかりやすく身近なもので例えてみるよ!」でした。
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