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不動産の違約金!契約解除すると一体いくら払わないといけないの?

不動産の契約を解除すると「違約金」が発生します。

理由やタイミングによって違約金の額にも違いがあり、不動産売買契約条項には次の6つの解除について記載されています。

  1. 手付解除
  2. 引渡し前の滅失・損傷による解除
  3. 契約不適合を除く契約違反による解除
  4. 反社会的勢力排除による解除
  5. 融資利用の場合による解除
  6. 契約不適合責任による解除
不動
細かい字がぎっしり詰まっている不動産売買契約条項ですが、違約金に関わることなのでココはしっかりと抑えておきたいポイントです。

というわけで、今回は売買契約書の条項から「不動産契約の違約金・解除に関すること」をお伝えしていきます。

 

 

手付解除について

まず「手付」とは、売買契約の締結の際に「買主から売主に交付する金銭」のことをいいます

また手付には「3つの法的性格」があり、

  • 「証約手付」…授受によって契約が成立したことを表す
  • 「解約手付」…当事者が一方的に契約を終了させることができる(解除権の留保)
  • 「違約手付」…契約解除にあたってのペナルティの意味をもたせる

なかでも「解約手付」の部分が重要になってきますので、詳しくお伝えしていきます。

具体的な手付解除のルールとは?

手付は民法の規定により、解約手付性を否定する特約がなければ解約手付と推定され「相手方が契約の履行に着手するまで」は手付解除ができるとされています。

相手方が契約の履行に着手するまでとは、例えば

  • 売主…所有権移転登記手続や分筆登記手続など
  • 買主…中間金の支払いや残代金の支払い、代金を準備し売主に履行を催促した

などが履行の着手と考えられます。

不動
その他、どのようなケースが履行の着手に当たるかは個々に応じて考える必要があります。

 

そして、不動産売買契約条項では、

  • 買主からの解約…手付放棄
  • 売主からの解約…手付倍返し(受領した手付金を返還して、さらに手付金と同額を買主に支払う)

によって、相手方の承諾を得ず、また損害賠償をすることなく契約を消滅させることができます。

ただし、売買契約書に記載される「標記の期日」を経過したときは、手付解除することはできないので注意してください。

 

手付金はいくら準備しないといけないのか?

手付金の額は、売主が宅建業者の場合の宅建業法の制限を除けば、特に制限があるわけではありません。

ただ、一般には売買代金額の「5~10%」で設定することが多いです。

とはいえ、2,000万円の新築一戸建てだと5%でも100万円ですから結構な金額になります。

おやつ
最近では諸費用も住宅ローンで全て借りられるケースも多く、売主が許可すれば5%未満でも契約することも可能です。

 

売主が宅建業者の場合

売主が宅建業者の場合は、次のルールがあります。

  • 受領できる「手付金の額」は売買代金の20%以内
  • その手付がいかなる性質のものであっても、手付解除が認めらる
  • 上記1および2の規定より買主に不利な特約は無効

また、宅建業者が、手付金を貸し付けたり、建替えたり、あるいは手付金を分割して受領する行為は、宅建業法違反です。手付金を手形で授受する行為も、宅建業法に違反します。

あすか
買主に不利な特約とは、例えば「手付金以上の金額を支払わないと買主は解除できない」というような特約は記載されていても無効になります。

ポイントをまとめると、手付解除については

  • 買主は、支払った手付金を放棄することで契約を解除できる。
  • 売主は、受領した手付金を返還して、さらに手付金と同額を買主に支払うことで手付解除できる。
  • ただし「相手方が契約の履行に着手する」もしくは「手付解除の期限を過ぎる」と手付解除は出来ない

ということですね。

 

 

引渡し前の滅失・毀損による解除

「引渡し前の滅失・毀損」による解除は、契約締結後から引渡し前までに、売主と買主どちらの責任でもない事由で、物件が滅失・毀損したときの取り扱いについて定めた条項です。

ちなみに売主と買主どちらの責任でもない事由とは、火災・地震・台風などが想定されます。

 

「引渡し前の滅失・毀損」による解除のポイント

「引渡し前の滅失・毀損」では、まず第1項で「買主と売主は滅失に関し双方無責であれば契約の解除権がある」ということを定めています。

次に第2項と第3項では、毀損した場合、売主に修復義務を課した上で、修復が著しく困難なとき、または過大な費用を要するときは売主は解除できると定めています。

そして、さいごの第4項では、受領済みの金銭があれば売主は買主に返還することが定められています。

おやつ
つまり、引渡しまでに天災などで物件が損傷した場合、修理費が少しであれば売主は直して引き渡します。しかし、修理費が莫大な時まで修復の責任を課すのは酷なので、その場合は解除できるということですね。

 

契約不適合を除く契約違反による解除

契約不適合を除く契約違反による解除とは、ようするに「契約違反」に関することです。

先出の手付解除では「手付解除の期限」を設けましたが、それ以降に買主または売主の自己都合で契約を解除する場合は「違約解除」になることが一般的です。

 

違約金の額は予め決めておく!?

契約違反によって解除された場合、解除された者は違反者に対して、その解除によって生じた損害を賠償するように請求できます。

しかし、違約金の請求については、契約違反者の落ち度や過失また損害額を立証することが必要となります。

実際にそういった立証は困難なので、一般的な不動産売買契約書では「あらかじめこの損害額を契約締結時に両当事者の合意で定めておく」方法をとります。

これを損害賠償額の予定といい「売買代金額の10~20%」で定めることが通常です。

ひな
違約解除となった場合、すでに支払っている手付金や中間金などは返還されます。また当事者が納得していれば「手付の額をそのまま違約金の額とすることも可能」です。

 

業者が売主の場合はどうなる?

業者が自ら売主となる売買契約では、売買代金の額の20%を超える額で違約金を定めることはできません。

にもかかわらず20%を超えて損害賠償額を予定した場合は、20%を超える部分は無効となります。

 

 

反社会的勢力の排除による解除

不動産取引では、反社会的勢力(に暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる団体または個人まやはこれらの団体の構成員など)との取引は、暴力団排除条例で禁じられています。

反社会的勢力ということを偽って契約した場合も違約金が定められており、

  • 反社会的勢力と偽って取引した場合…売買代金の20%相当額
  • 反社会的勢力の拠点として場合…売買代金の80%相当額

が、制裁金として課されます。

不動
実際に反社会的勢力の疑いがある場合は、不動産会社も契約を拒否しますし、または反社会的勢力排除担当部門、弁護士に相談して対応します。

 

融資利用の場合による解除

住宅ローンを利用する場合、不動産売買契約では「融資利用の特約(ローン特約)」を設定することが一般的です。

これは不動産契約を締結したものの、金融機関からの融資が不調となった場合に備えて買主を保護するための内容になります。

ローン特約には2種類ある!?

ローン特約には、2種類のタイプがあります。

  • 解除条件型…ローンが不成立の場合にが「自動的に売買契約も白紙解除される」
  • 解除権留保型…ローン不成立の場合には「買主は売買契約を解除することができる」

解除条件型が「ローンが通らなかったら自動的に契約解除」なのに対して、解除権留保型は「買主から申し出なければ契約が解除されない」という違いがあります。

不動産売買契約では下記のように「融資未承認の場合の契約解除期限」が設けられますので、解除権留保型では契約解除を申し出ずに解除期限を過ぎてしまうと「ローン特約での解除ができない」ので注意が必要です。

 

 

ローン特約を設定する際に気を付ける事

ローン特約を設定する際は、

  • 融資利用の特約の対象となる融資利用の金融機関名・融資利用金額を明確にする
  • 解除期限の設定は「融資審査の期間に余裕を持たせて」を考慮した上で、また特約期間が長くなりすぎない範囲で設定する

ことが必要です。

あすか
支店名や金利・借入期間は未記入でも構いませんが、仮に金利1%以内で借りる予定だったのが、金利1.2%で審査が通った場合「1%じゃないから契約解除したい」ということは出来ません。

 

ローン不成立でも仲介手数料は支払わないといけないのか?

仲介手数料の考え方は「売買契約が確定する」ことで発生すると考えます。

ローン特約による契約解除は、ローン不成立により売買契約が成立しなかったと考えるため、仲介手数料を支払う必要はありません。

すでに支払っているのではあれば、仲介業者は報酬を返還する必要があります。

 

買換えに伴う特約

買主の資金調達の事情によって売買契約を白紙に戻すのに、ローン特約のほかに「買換え特約」があります。

買換えとは「今の住宅を売却した資金で新しい家を買う」ことです。

買換え当事者にとっては売却した代金を全額受領した後に、新規物件の購入を行えば資金計画上は安心です。

しかし、実際はある程度の見込みで同時並行的に進行する場合も多くあります。

このような場合、買換え当事者にとって購入の売買契約と売却の売買契約は本来は個別の契約ですが、業者との約束によって「売却の売買契約の決済が購入する売買契約の成立の条件」になっていたりすることがあります。

 

 

契約不適合責任による解除

契約不適合とは、売買契約の目的物が本来必要な品質・性能を欠いていることをいいます。

買主にとっては「もっとも気になるポイント」だと思います。

また、この部分は民法改正で内容が大きく変わり、状況に応じて請求出来る権利が異なる点にも注意が必要です。

 

契約不適合責任による買主から売主へ請求できる権利

条文を読むとイマイチ分かりにくいですが、第1項から第5項までを要約すると次のようになります。

  1. 契約の内容に適合しないものであるとき(補修請求)
  2. 売主に落ち度や過失がある場合(損害賠償請求)
  3. 売主に補修請求しても応じない場合で、それにより契約の締結の目的が達成出来ない場合(契約の解除)
  4. 契約の解除をしても損害がある場合で、売主に落ち度や過失がある場合(損害賠償請求)
  5. 買主が契約締結のときに契約不適合の事実を知っていたとき、または経過期間が過ぎるまでに通知しなかった場合は請求できない

例えば、家を買ったけど雨漏れがするのであれば、買主は売主に「補修を請求する」ことが出来ます。

また、その雨漏れが売主の過失であれば「損害賠償請求」も可能です。

しかし、売主が補修請求にも損害賠償請求にも応じない場合は「契約解除」、それにより買主が損害を被る場合は「損害賠償請求」となります。

おやつ
ただし、買主が契約時に契約不適合を知っていた場合は「上記の請求が出来ない」ということです。

 

契約不適合責任の通知期間

契約不適合責任の通知期間は買主と売主で定めますが、「物件引渡しから3~6ヶ月」とすることが多いです。

そして、買主は定めた期間内に「契約不適合であることを通知すれば良い」ことになります。

ただし、契約不適合を知ってから5年以内に訴訟提起や債務承認がなければ買主の権利は時効消滅することになります。

一般個人が売主となる場合

売主が一般個人の場合、買主との合意があれば「契約内容に不適合があっても売主は一切の責任を負わない」とする特約を定めることは可能です。

ただし、売主が契約不適合であることを知っていながら、その事実を告げなかった場合は責任を免れることはできません。

 

宅建業者が売主となる場合

売主が宅建業者の場合、契約不適合責任に関して「民法の規定よりも買主に不利となる特約」は設けることができません。

具体的には、買主が行う通知期間を物件の引渡しの日から2年より短くなる特約は定めても無効になります。

あすか
逆に2年以上の契約不適合責任を負う特約は、買主が不利になるわけではないので有効です。

 

新築住宅の特例

新築一戸建てに関しては、平成12年4月1日から「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行されています。

具体的には、新築住宅を販売する建設業者または売主には「構造耐力上主要な部分等について10年間の修復請求・損害賠償請求・契約解除」が義務づけられています。

また、10年間の契約不適合責任の履行義務を確保するための措置として、新築住宅の引渡し戸数に応じた一定の額の「住宅販売瑕疵担保保証金」を供託しなければならないとする制度が創設されました。

 

構造耐力上主要な部分とは?

構造耐力上主要な部分とは、基礎・基礎杭・壁・柱、小屋組・土台・筋交いなどの斜材・床板・屋根または梁・桁等の横架材で、当該住宅の自重や積載荷重。積雪、風圧、土圧、もしくは水圧または地震その他の振動、衝撃を支えるものをいいます。

また、雨水の侵入を防止する部分としては、住宅の屋根・外壁またはこれらの開口部に設ける戸枠等の建具および雨水を排除するために設ける排水管のうち、当該住宅の屋根や外壁の内部または屋内にある部分をいいます。

 

 

おわりに

今回は不動産の違約金に関することをお伝えしてきました。

  1. 手付解除
  2. 引渡し前の滅失・損傷による解除
  3. 契約不適合を除く契約違反による解除
  4. 反社会的勢力排除による解除
  5. 融資利用の場合による解除
  6. 契約不適合責任による解除

の6つが契約解除に関することで不動産売買契約書の条項に記載されていますので、契約締結前にしっかりと理解しておきたいところです。

また、契約の解除については権利が留保されますが、契約解除については意思の撤回は出来ません。

どちらにしても契約解除する場合は、メールや出来れば内容証明郵便など形の残るもので慎重に行う方が良いでしょう。

 


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