「新築に欠陥があったらどうしよう…!」
これからマイホームの購入を考えている方なら一度は心配したことがあるのではないでしょうか?
本来はあっては欲しくない話ですが、新築で雨漏れなどの不具合は「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター発行の 住宅相談統計年報 2016」では、1年間に1万件を超えているというデータがあります。
新築にも関わらず1年間に1万件を超えるトラブルが報告されているとなると、やはり自分の身にも降りかかる可能性も考えるべきかもしれません。
この記事では、私たち消費者側が気になることとして、以下のポイントについて解説していきます。
- 購入した家が欠陥住宅だったら賠償金や慰謝料などはどうなるのか?
- 万が一欠陥住宅だったら一体相談すればよいのか?
ちなみに、これらは「欠陥の内容」でも変わってきます。
少し難しく感じるかもしれませんが、出来るだけ分かりやすく簡単に解説するように心がけていますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
瑕疵があったのか?不法行為の責任なのか?
まず新築のマイホームと言っても「何をどこで購入したのか?」で欠陥住宅の賠償金請求は変わってきます。
そこで初めに知るべきポイントは、以下のどちらに該当するのか。
- 瑕疵担保責任保険か?
- 不法行為の責任か?
こちらで損害賠償の請求は大きく変わりますので解説していきましょう。
「瑕疵担保責任」とは?
例えば、家に雨漏れがあれば「住居として欠陥がある」と言えます。
こういった欠陥を「瑕疵」と呼び、買主は瑕疵を発見してから1年以内であれば売主に対して損害賠償の請求が出来ます。
また「これは修繕は出来ない」というものであれば契約を解除することも出来ます。
ただし、20年経った家で雨漏れしたから瑕疵担保責任を追及されていては買主は困ってしまうので、構造耐力上主要な部分(柱や屋根など)は新築物件で10年と瑕疵担保責任の期間が義務付けられています。
また中古物件の場合は建築されてから年数が経過していることから、そもそも瑕疵担保責任の免除された契約も多いです。(売主が個人の場合のみ)
通常は欠陥住宅と言っても「瑕疵の修繕費用=損害賠償額」というのが一般的です。
ただ、生活に危険を及ぼすような大きな瑕疵がある場合は、また話が変わってきます。
欠陥住宅で「不法行為の責任」となるのは?
瑕疵により居住者などの「生命や身体や財産が侵害される危険がある、または侵害された」場合は不法行為の責任になります。
不法行為と認められると時効が20年となり、後述しますが慰謝料の請求も可能となります。
また不法行為の場合は、居住者だけではなく隣人や通行人でも「危険であれば賠償金の請求を行う」ことが出来ます。
例えば…
- 外壁やベランダが落ちてきそう
- 基礎工事が悪く家が傾いている etc
あとは「告知義務違反(欠陥があるのにそれを伝えていない)」や「調査義務違反(調査すべきことをしていない)」も、債務不履行または不法行為の責任とみなされます。
慰謝料の請求について
よく慰謝料は「精神的に苦痛を受けたら貰えるもの」と思われています。
しかし、慰謝料というのはあくまで「不法行為」の場合に請求できるものなのです。
「欠陥住宅で雨が漏れて生活するのにも不便だし精神的苦痛だったから慰謝料も請求したい」というような気持ちになることも理解は出来ます。
ですが、瑕疵担保責任の範囲では慰謝料の請求は認められず、瑕疵を修繕することで賠償請求も満たしたと考えるのが一般的です。
簡単にここまでのポイントをまとめます。
住宅の欠陥は「瑕疵担保責任」か「不法行為の責任」に分かれます。
また「どちらで請求するのか分からない」という場合は、両方で請求することも出来ます。
どちらにしても責任の範囲を知ることが肝心です。
そして、次の「一体どこで購入した家なのか?」という点を考えていきましょう。
注文住宅と建売では損害賠償の請求先も変わる!?
基本的に瑕疵担保責任は「売主」に対して損害賠償を請求します。
ここで注意したいのは「家を建てた会社ではなく売主」だということ。
そのため「注文住宅・建売・マンション・中古住宅・土地など」どの契約でも、一体売主がどこになっているのか注目です!
売主が「建設会社」の場合
注文住宅の場合は、売主がハウスメーカーや建築会社など「家を建てた会社」というケースがほとんどでしょう。
欠陥住宅を建ててしまった会社に対して、直接損害賠償を請求するのですから分かりやすいですね。
請求の流れとしては、
- 瑕疵担保責任の期間・内容で間違いないことの確認
- 瑕疵がどのような状況になっているか書面を作成
- 売主に対して補修などを請求する
というのが一般的です。
売主が「不動産会社」の場合
建売や中古住宅の場合は、売主が「不動産会社」になっているケースもあります。
この場合の請求先は、家を建てた会社ではなく売主である不動産会社になります。
また、万が一不動産会社が「賠償責任を果たせません」という場合は、宅地建物取引業保証協会(各自治体に必ずあります)に苦情申し立てをします。
一連の流れはありますが、保証協会が代わりに補修費用などを還付してくれます。
「不法行為の責任」の場合
上記は「瑕疵担保責任」の話になりますが、これが不法行為の責任となると話は変わってきます。
売主だけではなく、施工会社・建築士(設計者)・工事監理者にも責任が及びます。
また、実際に裁判で損害賠償として認められたものとしては、
- 欠陥の補修費用
- 住宅ローンの金利や手数料など
- 欠陥の調査費用
- 慰謝料
- 補修期間中の仮住まいに関する費用
- 弁護士費用
などが挙げられます。
瑕疵担保責任と不法行為では随分と変わるものですね。
欠陥住宅だったら相談するのは一体どこに?
もし購入した家が欠陥住宅だったとしたら、どちらにしても専門家に相談しましょう。
一人で悩んでいても解決しませんし、一人で建設会社などを相手取っても精神的に参ってしまいます。
お近くの弁護士というのも手ですが、初めはこちらがお勧めです。
住まいるダイヤル
住まいるダイヤルは「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」が運営しています。
平たく言うと「国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の電話相談窓口」です。
欠陥住宅のトラブルに限らずリフォームなど様々な相談に建築士といった専門家が乗ってくれます。
万が一、購入したマイホームに欠陥があったら一度相談してみては如何でしょうか。
また「建設住宅性能評価書」や「住宅瑕疵担保責任保険」が取得されている場合は、建築士や弁護士との対面相談も可能です。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
おわりに
いかがでしたか?
今回は「せっかく購入した家が欠陥住宅だったらどうするのか?」という内容でお伝えしました。
大きなポイントとしては「瑕疵担保責任の範囲」なのか、もしくは「不法行為の責任の範囲」なのかという点でしょう。
しかし、これも自分で判断することは難しいかもしれません。
そういった時には「住まいるダイヤル」など、無料の相談窓口を利用することをお勧めします。
ですが、もっとも良いのは欠陥住宅の家を購入しないこと。
「後悔は先に立たず」ですから、事前にしっかりと勉強することが大切ですね。
以上「新築なのに欠陥あり!賠償金や慰謝料は支払ってもらえるの?」でした。
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