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不動産登記簿の見方!基本構成と読む際の注意点を合わせて解説します

不動産の登記簿(登記事項証明書など)は、初めて見る人だと「意味が分からずに固まってしまう」くらいよく分かりません。

「表題部? 権利部? 甲区乙区? ここには何がどういう意味で記載されているの?」と、頭の中はクエスチョンマークだらけ。

じつは私が初めて登記簿を見た時がそうでした。

しかし、登記簿の見方にはコツがあって「記載されている構成」と「読む際の注意点」を抑えれば、じつはそんなに難しいものではありません。

とくに、これから土地や家の売買や相続がある方は「登記簿の見方が分からないようではマズイ」ので、ここでしっかり覚えておきましょう。

 

 

不動産登記簿の見方!基本は3+1の構成になっている

参照元法務省

上記は法務省に掲載されている登記事項証明書(土地)の見本です。

※ 登記事項証明書とは、登記簿に記載されている記録(電子データになっている)を「証明力のある書面」にしたものです。

こちらを参考に各項目の内容について説明していきます。

おやつ
登記は「一筆の土地」と「一個の建物」ごとに行なうので、建物の登記簿もありますからね!

 

表題部について

表題部には「物理的現況に関すること」が記載されています。

例えば、土地であれば「所在・地番・地目・地積」が、建物であれば「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」が記録されることで物件を特定することができます。

そして、これらの登記を一番初めに行なうことを「表題登記」といいます。

ですから、新築であれば必ず表題登記を行なわなければなりません。(表題登記は申請義務がある)

また、建物の増築や滅失、土地であれば合筆や分筆などがあった場合も「1ヶ月以内に申請する」必要があります。

 

土地の表題部の内容

  1. 「所在」…行政区画を基準として、市区郡町村と字で表示される
  2. 「地番」…所在を補完する。地番区域の土地の1筆ごとに登記所が定めた番号
  3. 「地目」…土地の利用目的。利用の状況に応じて23種類に分かれる
  4. 「地積」…土地の水平投影面積(真上から見た面積)で平方メートルで小数点以下第二位まで記録される

 

建物の表題部の内容

  1. 「所在」…建物のある敷地の所在と地番が記載される。注意点として記載が「番地」になる(土地の番地は「番」)
  2. 「家屋番号」…建物を特定するために法務局が定める番号。同一の敷地に複数の建物がある時には「123番4の5」の5のように支号が付される
  3. 「種類」…建物の主たる用途
  4. 「構造」…建物の主たる部分の構成材料と回数、屋根の種類で表示される。但し、リフォームなどで現況と異なることもあるので鵜呑みには出来ない
  5. 「床面積」…建物の各階ごとに壁などの区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。土地と同様に小数点以下第二位まで平方メートルで記録する

 

権利部(甲区)について

権利部には「権利に関すること」が記載されます。

そのうち所有権に関わる事項が記載されるのが「甲区」です。

例えば、所有権の保存(一番初めの所有者を登記すること)や、所有権の移転(所有者が変わること)、差押えや仮処分などがあると甲区に記載されていきます。

不動
登記は歴史が分かるように、一番初めの所有者から順々に記載されていきます。(上書きされるわけではありません)

 

権利部(乙区)について

乙区は、所有権以外の権利に関する事項が記載されます。

家や土地の購入で馴染みが深い「抵当権」は乙区に記載されます。

その他には、先取得権、賃借権などがあり、1つの不動産に対して複数の権利に関する登記がされた場合、原則として「登記の前後」で順位が決まります。

権利部に関する登記は「登記しなくて権利を対抗できなくても自己責任」ですから、表題登記と違って義務ではありません。

 

共同担保目録とは?

共同担保目録は、1つの債権に対して複数の担保がある場合に記載されます。

先の登記事項証明書では「抵当権が土地と建物に設定されている」ことが分かります。

実務では重要な共同担保目録ですが、こちらは登記事項証明書の申請の際に必要とする記載がなければ表記されないので要注意です。

 


 

登記簿は記載内容がパッと見て感じで似ているので、読み慣れていないと「全部一緒で違いが分からない」と思います。

そこで、登記簿を読む際は「似たポイントを比較して違いを分ける」ことで腑に落ちやすくなります。

 

 

登記簿を見る際の実務的ポイント!

ここまで登記簿の内容について解説してきました。

しかし、いざ登記事項証明書を請求した際に見本のようにシンプルなものとは限りません。

人の名前がズラーっと並んで「何がどうなっているのか分からない」こともあるので、登記を見る際のポイントをお伝えしていきます。

 

表題部と権利部(甲区)の「所有者」の違い!

登記簿を見ると表題部にも甲区にも「所有者」が記載されているので、どちらを見れば良いのか分からないかもしれません。

登記は、その土地や建物の「歴史」を見るものでもあります。

その歴史を見る上で、一番初めの登記内容が「表題部」であり、それ以降の歴史が記載されているのが「権利部」です。

ですから、表情部の所有者は「一番初めの所有者」であり、権利部の所有者は「歴代の所有者」が記載されます。

但し、権利部には「登記の申請義務はない」ので、甲区に記載されている所有者が実際の所有者だと決め付けるわけには行きません。

実際に登記されている物件の現況を確認するなど、他の調査も大切ですね。

 

なぜ表題部と甲区の一番初めの所有者が一緒なの?

先の見本の登記事項証明書でも、表題部と甲区の一番上の所有者が一緒でした。

これは甲区で「所有権保存登記が行なわれた」ことが登記されるわけですが、表題部を見れば一番初めの所有者は分かるので二度手間のように感じますよね。

おやつ
でも、権利部の登記が無ければ「対抗要件が持てない」ので必要なんです。

 

甲区の所有者は単独所有か共有か?

不動産を購入する際に、夫婦で共有名義にすることはよくあります。

例えば、持ち分割合を「夫2/3:妻1/3」とした場合に、その情報を登記することを「持分登記」といいます。

この情報は甲区に記載されるのですが「持分登記がある=共有名義の物件」であれば、売却する際には「共有者全員の同意」が原則必要です。

また、自分の持ち分割合だけ売却することは出来ますが、逆に買う側にとっては共有持分だけ買っても困ってしまいます。

不動
だから甲区の所有者情報は要チェックなんですね。

 

「所有権の処分制限の登記」にも同様に注意!

さらに、甲区の所有権欄に「差押、仮差押、仮処分など」の登記がある場合も要注意です。

例えば、差押登記は「住宅ローンや税金の滞納があり競売等が開始される」ことを登記します。

そうすると所有者は自由に物件の売却をすることが出来ず、裁判所等への取下申請手続きが必要となります。

所有権の処分制限のある物件を売買する際は「債権者との協議が必要不可欠」ですから、内容はしっかりと確認しましょう。

 

権利の順位の決め方について

私たちが何のために登記を行なうかというと「法的に第三者に対して対抗力を得るため」です。

そのため、乙区に複数の権利が記載されている際には注意が必要です。

登記は原則として「登記した日付の早い順」で順位が決まります。

しかし、同日に同じ区(甲区と甲区、乙区と乙区)で登記がされた場合は「順位番号」で決まります。

また別の区(甲区と乙区)であれば「受付番号」で順位を決めます。

 

仮登記の有無も要チェック!

仮登記とは、本登記をするために必要な書類などが揃っていない場合に「将来の本登記の順位を確保しておく予備的な登記」です。

私たちが土地や家を購入する際に仮登記は行なわれますが、逆に言うと「仮登記があると後順位の登記は権利を失う」ことになるので要注意です。

おやつ
但し、仮登記が認められるのは「必要な情報提供が出来ない」「将来の請求権を保全したい」場合に限られます。

 


 

ちなみに権利関係の登記申請は司法書士に依頼することが一般的ですが、その際に必要な書類は何があるのでしょうか?

買主と売主でまとめていますので合わせてご覧下さい。

不動産登記で必要な書類は?買主と売主に分けて入手先も解説します!

土地や家屋を購入したら「登記」を行ないます。 じつは家を買う(所有権を移転する)ような「権利に関する登記は義務では無い」のですが、登記しなければ権利を公に主張できないので、実務上登記しないことはありま ...

 

まとめ

登記簿は、基本的な構成は「表題部と権利部(甲区と乙区)」で、物件の担保状況によって「共同担保目録」が記載されます。

その点を踏まえて最期におさらいしていきましょう。

  • 表題部は、一番初めの登記であり「物件の現況」が分かる
  • 権利部は、物件の歴史であり「今の権利関係」が分かる
  • 抵当権(根抵当権)が設定されているときは、共同担保目録は必ず確認すべし!
  • 登記簿は権利部の内容がとくに大切!

また、登記簿の内容を見ていく上では「最新の権利情報」が重要です。

甲区と乙区の両方大事なので、売買する際はしっかりと確認するようにしましょう。

 


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