これから家づくりを始める方にとって「どんな住宅構造・工法で建てるか?」はとても重要です。
まず、住宅の構造は一般的に「木造・鉄骨造・RC(鉄筋コンクリート)造」に分けられます。
また、工法に関しては「木造軸組・2×4(ツーバイフォー)・鉄骨・RC」で大きく分けるのが一般的でしょう。
ただ、私たちが家を建てる時は「木造軸組で家を建てたい」というように工法から選ぶわけではなく、
- 地震が心配だから耐震性を重視したい
- とにかく予算を抑えたい
など、家に対する「こだわり」から工法を選ぶと思います。
そのためには、まず「各構造・工法にどういった特徴があるのか?」が分からないと話が進みませんよね。
というわけで、後ほど各工法については詳しく解説するとして、まずは住宅の構造・工法の特徴を見ていきましょう。
住宅の構造・工法を一覧で比較!
木造軸組 | 2×4 | 鉄骨 | RC | |
耐久性 | ★ | ★★ | ★★★ | ★★★★ |
耐震性 | ★ | ★★ | ★★★ | ★★★★ |
耐火性 | ★ | ★★★ | ★★ | ★★★★ |
気密性・断熱性 | ★★ | ★★★★ | ★ | ★★★ |
設計・デザイン | ★★★ | ★ | ★★★★ | ★★ |
敷地対応力 | ★★★★ | ★★★ | ★★ | ★ |
品質の安定性 | ★★ | ★★★★ | ★★★ | ★ |
コスト | ★(低) | ★★ | ★★★ | ★★★★(高) |
工期 | 4~6ヶ月 | 3~5ヶ月 | 3~5ヶ月 | 5~7ヶ月 |
メンテナンス | ★★★★ | ★★★ | ★★ | ★ |
リフォーム | ★★★★ | ★ | ★★★ | ★★ |
工法に関しては各ハウスメーカーで日々技術を磨いているので「必ずしも木造軸組工法の耐震性が低いとは言えない」のですが、それでもRC造と比べればという感じで決めました。
記事の後半で各工法について解説しますので、上記表と合わせて参考にしてください。
構造・工法を選ぶ時は「敷地」も注意!
構造や工法を決める際は「私は頑丈なRC造がいい!」というように好き嫌いで決められないことがあります。
例えば「防火地域・準防火地域」では、基準をクリアーしない家は建てることが出来ません。
土地に関する注意ポイント
- 敷地の形状・広さ
- 地盤の強度
- クレーンを使用する場合はスペースがあるか?
- 防火・準防火地域など
「絶対にこのハウスメーカーで建てたいんだ!」と思っても、土地によっては難しいケースも出てきます。
土地探しから始める方は注意ですね。
木造軸組工法について
参照元:住友林業
代表的なハウスメーカー
住友林業・桧家住宅・タマホーム・一条工務店 …etc
木造で骨組みをつくる日本でもっとも多い工法が「木造軸組工法」です
木造軸組工法は、耐力壁以外の柱や壁は小刻みに動かせるので設計や間取りの自由度が高いです。
そのため、狭小地や変形地での建設にも向いていますし、リフォームや増改築もしやすいです。
また、コストも他の工法に比べて抑えられるのも魅力の1つです。
木造軸組工法のメリット・デメリット
メリット
- 設計・間取りの自由度が高い
- 狭小地・変形地でも対応しやすい
- リフォーム・増改築しやすい
予算を抑えたいという方は「木造軸組工法」からハウスメーカーを探すと良いでしょう。
地震を心配される方もみえると思いますが、最近では金具で補強して耐震性の高い家も多いので「各社のこだわり」は要チェックです。
デメリット
- シロアリや腐朽対策は必要
- 職人によって仕上がりに差が出る
湿気の多い土地ではシロアリ対策を5~10年スパンで検討した方が良いでしょう。
また、多くの施工会社で木造軸組工法を採用していますが、仕上げに大きな差も出やすい工法なので注意は必要です。
2×4(ツーバイフォー)工法について
参照元:スウェーデンハウス
代表的なハウスメーカー
三井ホーム・三菱地所ホーム・スウェーデンハウス …etc
2×4(ツーバイフォー)工法は、壁で支える「箱形構造」です。
そのため木造枠組壁工法とも呼ばれます。
2×4(ツーバイフォー)工法は壁で力を受けるので「耐震性が高く」また構造体に隙間が出来ないので「気密性や断熱性も高い」という特徴があります。
こうなるとメリットが高さそうな工法だと感じますが、逆にデメリットも明確です。
壁で支える構造なので「壁を切ったり動かしたりは出来ない」ですから、間取りの自由度は低く、また増改築には不向きです。
2×4(ツーバイフォー)工法のメリット・デメリット
メリット
- 耐震性が高い
- 気密性・断熱性が高い
- 施工はマニュアル化されており、品質が一定化されている
- 敷地の制限はクリアーできる
鉄骨造・RC造に比べてコストも抑えられて、なおかつ高い気密性・断熱性を備えているので「寒い地域で人気」のある工法です。
また、2×4(ツーバイフォー)工法は「火災保険などが安くなる(例外あり)」のもメリットの1つですね。
デメリット
- 間取りの自由度は低い(大きな開口部はとりにくい)
- 増改築には不向き
- 隙間がないので内部結露を起こす可能性がある
海外から導入された工法なので「湿気の多い日本では不向きでは?」という意見もあり、日本でも暖かい地域では2×4(ツーバイフォー)工法はメリットが弱いでしょう。
また、増改築・リフォーム関しては要注意ポイントです。
鉄骨造について
参照元:セキスイハイム
代表的なハウスメーカー
- 鉄骨ユニット: セキスイハイム・トヨタホーム…etc
- 鉄骨プレハブ: 旭化成ホームズ・積水ハウス …etc
たまに「鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違い」を聞かれますが、鉄骨造は鉄骨で骨組みをつくる工法です。(鉄筋コンクリートは後ほど解説)
鉄骨造には「重量鉄骨(厚み6ミリ以上)」と「軽量鉄骨(厚み6ミリ以下)」があります。
また、現地で組み立てる「ユニット工法」と、工場であらかた作る「プレハブ工法」でも分けられます。
それぞれ耐震・耐久性に優れ、間取りの自由度も高いです。
鉄骨造のメリット・デメリット
メリット
- 耐震・耐久性が高い
- 3階建ての家ができる(重量鉄骨は4階建て可)
- 品質が安定している
木造住宅よりも開口部が広くとれるので、店舗から住宅まで幅広く採用されています。
また、ハウスメーカーも多く参入しているので、予算やプランも検討しやすいです。
デメリット
- 木造住宅に比べてコストは高くなる
- 冬は寒い(鉄が外気の温度を伝える)
- 重量鉄骨はクレーンが入る道路が必要
鉄骨造で最も注意したいのは「ヒートブリッジ(熱橋)」です。
具体的には「結露が発生しやすい」「冷暖房の効果が悪くなる」という問題が出てくるので、とくに寒冷地で鉄骨造の家を建てるなら「ヒートブリッジ対策」は要検討となります。
RC(鉄筋コンクリート)造について
参照元:大成建設ハウジング(パルコン)
代表的なハウスメーカー
大成建設ハウジング・レスコハウス …etc
RC(鉄筋コンクリート)造は「鉄筋」で骨組みをつくり、コンクリートを流し込んで固める工法です。
引っ張りに強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートを組み合わせることで、耐久性・耐震性・耐火性に優れた家を建てることが出来ます。
但し、RC造は建物自体の重量があるので、地盤強化が必要となります。
またコンクリートが固まる時間も必要なので工期も長くなるので、建築コストは高いです。
RC(鉄筋コンクリート造)のメリット・デメリット
メリット
- 耐久性・耐震性・耐火性に優れている
- 気密性・断熱性・遮音性にも優れている
- 狭小地・変形地でも対応できる
デザインに関しては好みですが、すっきりした凹凸の少ない形になります。
また、大きな地震でも被害例が少なく、性能を重視するなら最強の工法でしょう。
デメリット
- 工期やコストがかかる
- 地盤強化が必要になることもある
施工の注意点として、せっかくのRC造も「コンクリートの品質や施工が悪い」と強度が落ちます。
また、コンクリートの劣化を防ぐために定期的なメンテナンスも視野に入れておく必要があります。
ここまで各工法についてお伝えしてきましたが、なかには「別に何でもいいよ」という方もみえると思います。
ですが、一言コメントで入れてきた「地域性」はポイントになります。
例えば、暖かい地域で「2×4工法の気密性や断熱性っているか?」という話です。
こういった視点も重要なので、工法含めてハウスメーカー選びで少し意識してみて下さい。
おわりに
今回は「住宅の構造・工法について」お伝えしてきました。
ここで出来る解説は基本的なことになってしまいますが、大切なのは「それぞれのメリット・デメリットを知る」ことです。
個人的に家づくりは、敷地や地域などの環境面によってベストは変わると思っています。
工法のメリットを活かせる環境もあれば、逆にデメリットが際立ってしまうこともあるでしょう。
寒い暑いだけではなく、雪が良く降る、海に近い、敷地が狭いなど「まったく一緒の土地はない」ので、その点も是非あわせて考えて下さいね。
以上「住宅の構造・工法を比較!メリットやデメリットを抑えて最高の家を!」でした。
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