「不動産売買契約書の印紙の負担って誰になるの?」
先日、家の購入を検討している知人Aから「不動産売買契約の印紙はすべて買主の負担なの?」という相談を受けました。
”すべて”という意味がよく分からなかったので確認すると、
- 売主が地元のハウスメーカーで買主が知人Aの不動産売買契約
- 売買契約書は正本を1部作成して、1部はコピーとする
( ↑ ここまではよくある話ですが、 ↓ たしかに以下がおかしくて)
- 契約書の正本は売主が保管して、コピーは買主が保管(印紙代は買主負担)
- 契約書を2通作成する場合は、買主の都合なので印紙代はすべて買主が負担する
と言われたらしいのですが、正直「う~ん」と唸りました。
違法ではないのでしょうけど「嫌な業者だな」とは思いますよね。
不動産売買契約書の印紙の負担者については「ちょっと難しい」ので、丁寧に解説していきましょう。
不動産売買契約書の印紙の「負担者」はだれ?
そもそも不動産売買契約書の印紙は誰が負担するのかというと「文書作成者」になります。
私たちが一般的に印紙を貼ったりするのは「領収書を作成して発行する」ことが多いので、そう考えると「印紙を貼る書類(課税文書)を作成した人が貼るんだな」と考えませんか?
これ、正しいんです。
正しいんですけど、これが不動産売買契約書の印紙の「具体的な負担者が分かりにくくなる理由の1つ」だと思います。
不動産売買契約書の文書作成者は「契約書に署名捺印している人」
領収書の場合は「実際に」領収書を作成している人になりますが、不動産売買契約書の文書作成者は契約書を作成している人ではなく「契約に関わって署名捺印している人」です。
今回のケースで言えば「売主(地元のハウスメーカー)」と「買主(知人A)」が文書作成者になります。
そして、法律では印紙を貼って税を納めるのは文書作成者となっているだけで、具体的に売主と買主のどちらとは決まっていません。
つまり、双方が印紙(税)の負担者で、また「どちらが負担しても問題ない」のです。
そのため、売買契約書には「この契約書に貼付する収入印紙は売主・買主が平等に負担する」などの契約条項が定められています。
そこで「契約書に貼付する収入印紙は買主がすべて負担する」と記載されていれば、買主の負担になるでしょう。
ただ、納得出来ないのであれば「契約書に署名捺印する”前”に」話合いをするのは可能です。(不動産売買契約書の印紙代は、必ずしも買主が負担するものではないですから)
なぜ不動産売買契約書の正本を2通作成しないのか?
不動産売買契約書の正本を1通作成して、もう1通はコピーにする理由は「印紙代の節約」です。
不動産売買は高額な取引なので印紙代も高く、1,000万円~5,000万円の契約で収入印紙も「1万円(軽減税率)」になります。
買主にとっては一度のことでも、何度も契約を行う売主(不動産業者)は出来れば印紙代も節約したいところ。
そこで、不動産売買契約書の正本は1通(これには印紙を貼る)にして、もう1通はコピー(原則印紙を貼らなくてもOK)にしているのです。
ただ、一般的には「正本は買主が保管する」のですが、今回は「売主が正本を保管して、買主がコピーを保管する」というのが引っ掛かるところです。
不動産売買契約書はコピーでも問題がないのか?
不動産売買契約書はコピーでも原則問題はないのですが、トラブルがまったく考えられないかというと微妙です。
例えば、契約書とコピーの内容が違う場合は「正本の方が証拠能力は高く」なります。
つまり、知人Aのケースで売主と買主にトラブルが起こって争ったりしたら「証拠能力の高い正本は売主に抑えられている」という状態になるわけです。
知人Aが契約する売主はちょっとおかしい
ここまでの説明を踏まえると、知人Aが契約する会社は「ちょっとおかしい」と言わざるを得ないでしょう。
実際、売主が売買契約書の正本を保管するのも「何かトラブルがあった時のため」という感じがしますし、そもそも知人Aが家を売却する時に必須書類ではないですが契約書はあった方が良いです。
また、2通の契約書に貼付する印紙も「どちらが負担しても良い」ですが、普通は「売主・買主が平等に負担」になります。
2通とも買主負担は常識の価値観を疑いますよね。
知人Aから相談を受けたとき、何も分からないことを良いことに「やりたい放題してるな」としか個人的には思えませんでした。
印紙を貼らないとどうなる?
ちなみに「不動産売買の印紙代は高額だし貼らなくてもバレないんじゃない?」と考える方もいる…、かもしれません。
課税文書に印紙を貼らなかったり、消印しなければ「過怠税」が追徴されます。
- 貼っていない場合…実質3倍(貼っていない分+2倍相当の過怠税)
- 貼っていないことを自己申告した場合…1.1倍
- 消印しなかった場合…消印していなかった額面
契約条項に「誰が印紙を負担するか記載がない」場合は、売主・買主(=文書作成者)が過怠税を負担します。
逆に間違って貼ったらどうなるの?
ちなみに「間違って貼って消印した場合」は、所定の手続きを行うことで還付されます。
印紙税法による還付であれば「印紙税過誤納確認申請書」を記入して、間違って貼った文書と印鑑を持って、納税する地域の税務署長に提出します。
おわりに
今回は「不動産売買契約書に貼る印紙は誰が負担するのか?」をお伝えしてきました。
内容をおさらいすると、
- 不動産売買契約の印紙は「文書作成者」が負担する
- 文書作成者は、契約書に署名捺印する契約当事者(通常は売主・買主)
- 売主・買主どちらが印紙を貼るかは決められていないので当事者間での話し合い
ということでした。
ただ、話し合いと言っても「正本は買主が持つから印紙代を負担する」というのが一般的な考えです。
ですから「契約書の正本を売主が預かって印紙代は買主が負担する」という知人Aのケースはかなり特殊なケースです。
印紙って案外身近なものですが、結構ややこしいものでもあるんですね。
以上「不動産売買契約書の印紙!負担するのは売主買主どっちなの?」でした。
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