賃貸では退去トラブルが本当に多いです。
これは全国どこでも同じなので『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』が定められたわけですが、それでも消費生活センターに寄せられる原状回復や敷金に関する相談件数は「年間13,000件を越えている」ような状態です。
では、なぜガイドラインが定められても原状回復に関するトラブルが少なくならないのかというと、やはり「内容を知らない」ことが原因だと思います。
であれば、退去費用に関わるトラブル事例や負担区分の考え方を知ることで「費用負担が適正か判断出来る」というもの。
というわけで、今回は「壁や床など部位ごとに分けて誰が退去費用の負担を行なうのか?」ガイドラインに定められた内容を確認していきましょう。
「壁や天井」に関する退去トラブル!
壁や天井の原状回復では「クロスの汚れや傷」がよく問題になりがちです。
そのため電化製品の背面や画鋲の穴まで、ガイドラインでは細かく貸主と借主のどちらが負担するのか区分されています。
貸主負担と定められる事例
- テレビや冷蔵庫などの後部背面の電気ヤケ
- 壁に貼ったポスターなどの跡
- エアコンの設置によるビス穴や跡
- 画鋲やピンなどの穴(下地ボードの貼り替えを要しない程度)
基本的に通常の生活の使用で生じるものは貸主負担です。
借主負担と定められる事例
- タバコのヤニによる変色や臭い
- 釘穴やネジ穴(下地ボードの貼り替えを要するもの)
- エアコンの漏水を放置した腐食
- 天井に直接取り付けた照明器具の跡
- 落書き等の故意による毀損
借主の負担となるのは「故意や過失によるもの」と考えられます。
クロスは補修や清掃をすれば費用は安くなる?
誰でも退去時の原状回復費用は安く抑えたいですよね。
そこで、タバコのヤニや釘穴など借主負担になるものは「自分で掃除や補修をすれば費用負担は安くなるのか?」と質問を受けることがあります。
これに関しては、退去立会いで部屋のチェックをする担当者が気付かないくらいのレベルであれば良いですが、基本的には素人仕事だと目に付きます。
ですから、退去時に自分で補修してもあまり負担は変わらないことが多いです。
退去費用を抑えたいのであれば「普段から汚さないように気を付ける」ことがベストでしょう。
「床」に関する退去トラブル!
床に関しては「傷・へこみ・変色」がトラブルになりやすいです。
家具などを設置して出来たへこみや変色は、大家と入居者どちらが修繕を行なうのでしょうか?
貸主負担と定められる事例
- フローリングのワックスがけ
- 家具の設置によるへこみ
- 畳の裏返し、表替え
- 日照などによる変色、色落ち
家具や電化製品を設置することは「生活する上で当然」ですから、それらによる変色などは貸主の負担と考えられます。
借主負担と定められる事例
- 引っ越し作業などで生じた傷
- 雨の吹き込みなど貸主の不注意による変色
- 落書きなど故意の毀損
- 冷蔵庫下のサビ跡
- 飲み物などをこぼしたことによるシミやカビ
冷蔵庫下のサビ跡も「冷蔵庫から水が垂れているのに放置していた」ということで入居者の過失となります。
お洒落なテーブルがフローリングの張り替えに!?
家具などを置いてできた跡は、通常であれば貸主の負担です。
しかし、中古車販売店などにありがちな「車のタイヤの上にガラス板を置いてテーブルにしていた」ことで、タイヤに含まれる劣化防止剤が漏れ出してフローリングにタイヤの跡が残ってしまいました。
入居者は家具の使用だと言い張りましたが、これは当然過失になります。
面積も広かったことで一室全面張り替えとなりました。
「建具」に関する退去トラブル!
建具とは、窓ガラスや襖などのことです。
仮にアニメにありそうな「野球ボールが飛んできて窓ガラスが割れた」場合は誰の負担になるのでしょうか?
貸主負担と定められる事例
- ガラスの亀裂や破損(借主の故意過失によらない)
- 網戸の張り替え
ガラスの亀裂や破損は地震や台風、また第三者によって発生した場合は「貸主の負担」になります。
借主負担と定められる事例
- 飼育ペットによる傷や臭い
- 落書き等の故意による毀損
その他、襖や障子紙を故意過失で損耗した場合は「借主の負担」となります。(通常使用の色あせなどは貸主負担)
「設備やクリーニング」に関する退去トラブル!
設備やクリーニングについては、使用状況によって負担者が変わることもあります。
個人的には「もっともトラブルになりやすい」ので、要チェックです!
貸主負担と定められる事例
- 浴槽、風呂釜などの取り替え
- 設備機器の故障修理、寿命による交換
- 入居前の鍵交換
- 専門業者によるハウスクリーニング
- エアコンの内部洗浄
- キッチンやトイレの消毒
設備で貸主負担になるのは「附帯設備(貸主が取り付けた設備)」です。
前の入居者が置いていった設備は、故障などがあっても貸主は修理の義務を負いません。(残置物は借主の負担)
借主負担と定められる事例
- 日常の不適切な手入れや使用による毀損
- 鍵の紛失・破損による取り替え
- 戸建て賃貸住宅の庭に生い茂った雑草
日常の不適切な使用や手入れでは「ガスコンロ置き場や換気扇などの油汚れ」や「風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビなど」が問題になりがちです。
エアコンの内部洗浄であった退去トラブル!
ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄は貸主負担になっています。
そのため、附帯設備のエアコンが臭うので「入居者が自己判断で業者に依頼」してクリーニングを行ないました。
そして、その費用を大家に請求したところ「何を勝手にクリーニングしてるんだ!原状回復しろ!」とトラブルに発展。
結局どちらが費用負担したかというと大家になりましたが、賃貸では「入居者が事前連絡を怠って発生するトラブルは多い」です。
「これってどうなのかな?」と思ったら自己判断ではなく、何でも管理会社に問い合わせるようにしましょう。
覚えておきたい!原状回復の基本的な考え方
ここまでに紹介したケース以外でも原状回復に関するトラブルが発生することはあるでしょう。
そういった時に覚えておいて頂きたいのは「原状回復の基本的な考え方」です。
負担する人 | 対象 |
貸主(大家) |
|
借主(入居者) |
|
経年変化や通常損耗は「使用していれば当然に起こる」ことで、これらの費用負担は家賃に含まれると考えられるため貸主の負担となります。
借主の負担になるのは、故意や過失がある場合なので考え方としては難しくはないと思います。
しかし、喫煙でクロスが変色したから貸主が”全額”費用負担するというわけでもありません。
クロスも年月が経過すれば当然に古くなりますから、経過年数に応じて貸主と借主の負担割合を決めることになっています。
原状回復の費用負担については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。
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まとめ
『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』は法的効力はありませんが、仮に裁判になった場合は重要な判断材料になります。
そこで記事内でも事例をいくつか紹介しましたが、基本的な考え方としては
- 通常使用で起こる経年変化は「貸主」の負担
- 故意や過失によるものは「借主」の負担
- ガイドラインの記載と異なる「特約」は有効
ということは抑えておきましょう。
特約については借主があまりにも不利なものは認められませんが、あればガイドラインよりも優先されるので契約時のチェックは忘れないようにして下さいね。
ちなみに敷金の一部を原状回復費用にあてる特約は有効です。
以上「賃貸の退去トラブル!天井やクロスなど箇所事にまとめてみました」でした。
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