インターネットを見ると「不動産の値引きはどこまで出来る?」という質問を見かけます。
なかには値引きの交渉術みたいな内容もあり、不動産購入を家電製品や新車のように値引きありきで考えている方が多いのだと思います。
しかし、不動産は値引きが当たり前ではありません。
売主もたくさんの不動産を持っているわけではありませんから、最低でも相場の価格で売りたいと考えます。
では、不動産取引ではどれくらいの相場が妥当なのでしょうか?
まずは実際の現場で行われていうる値引きの相場からお伝えしていきましょう。
不動産取引における値引きの相場は?
販売価格2000万円の物件を何の根拠も無く「300万円値引いてくれたら買います!」という人はリアルにいます。
しかし「離婚協議でとにかく早く売りたい」とか「心理的瑕疵があるので買い手が見つからない」など余程の事情が無い限り、そんな値引きに応じる人はいないのが現実です。
そこで覚えておいて頂きたいのが、一般的に不動産取引で交渉出来る値引きにも相場があるということです。
土地の値引きなら「坪1万円」が相場!
土地の売買で多いのが「坪単価1万円の値引き」です。
例えば2,000万円で50坪の土地なら、50坪×1万円=50万円の値引きで1,950万円で契約というようなケースは多いです。
値引きの相場というのもおかしいですが、土地売買で値引きをするなら坪1万円が相場ですね。
中古住宅なら「80万円」や「90万円」の端数切り!
中古住宅は販売価格2,980万円や3,990万円のように「数十万円単位で端数を作る」ことがあります。
これは3000万円よりも2,980万円の方が安く感じることが大きな理由です。
ですが、もう1つ「どうせ値切られるから落とし所で端数を作っておこう」というケースもあります。
売主が個人であれば端数切りが値引きの相場だと思います。
新築一戸建ての建売はタイミング次第!?
インターネットで「200万円の値引きに成功した!」というような話は、売主が法人になる新築一戸建ての建売等であれば可能性はあると思います。
一般の方が売主になる土地や中古住宅であれば「不動産取引の相場」があるので坪1万円や端数切りが落とし所になります。
しかし、売主が法人になる新築一戸建て等は「利益の範囲」で値引きします。
とくに新築は「建築で利益を上乗せできる」ので土地の売買よりも利益幅は大きくなります。
そのため最終一棟で早く完売したいような場合は、大幅な値引きに応じてくれることもあるわけですね。
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個人が売主だと相場以上の値引きはされないのか?
個人が売主でも例外的に値引き額が大きいケースはあります。
冒頭でお伝えしたように、値引をしてでも売り急ぐ理由がある場合です。
- 離婚協議を早く終わらせたい
- 任意売却で時間が無い
- 何かしらの瑕疵等があって買い手が見つからない
など、基本的にマイナス要因がある場合は値引きに応じてくれる可能性はあります。
不動産の値引きで一番のポイントは「売主が個人なのか?法人なのか?」です。
売主が個人であれば利益目的で不動産を取得しているわけではないので、売却価格も市場価格を参考に決めます。
そのため相場からかけ離れる値引きは応じて貰えないと考えた方が良いでしょう。
不動産の値引き交渉でNGの言い方
インターネット上で不動産の値引き交渉に関する情報は色々あります。
よく見かける交渉術的なものは、実際のところ個人的に逆効果になることが多いように思います。
ここでは不動産仲介業者である私が、実際にある「ダメなパターン」を紹介します。
聞くのは無料と「ダメ元の価格」で値引き交渉はNG!
2000万円の物件にダメ元で500万円の値引きをする。
さらに1,500万円で断られたら「だったら1,600万円で…」というような値引きをする方がいます。
逆に売主の立場だったら、どういった気持ちになるでしょうか?
それでも聞くだけ聞いてとしつこく頼まれた結果、売主側からその人には売らないと言われたことならあります。
売主からすれば「誰かに買って貰えれば良い」ので、わざわざしつこく値切ってくる人を相手にする必要はないですからね。
「全部で●●円なら買います!」という値引交渉もダメ!
諸経費なども伝えて購入するかどうかも大詰めに差し掛かると「全部で●●円にしてくれるなら買います」と言われます。
新車を買う時はオプションや名義変更などの手数料も含めて最終価格でいくらみたいな話になりますが、基本的に不動産の諸経費は値引き出来るものではありません。
支払う先も銀行や税金、司法書士などバラバラになります。
そのため「全部で●●円にしてくれるなら買う」と値切っても「そんなの無理です」としか答えは返って来ないでしょう。
家電製品や新車の値引と勘違いしている内容も多く見かけるので、あまり信じるのもどうかと思います。
基本的に不動産の値引きは「常識の範囲内で一度」が最も成功確率は高いでしょう。
不動産の値引きのタイミングはいつ?
不動産の値引きはタイミングが重要です。
タイミングを間違えると決まっていた話が流れることもあります。
初めて不動産購入をする方は「いつ値引きの話を切り出せば良いか悩む」と思いますので参考にしてください。
値引のタイミングは「買付け申し込み」をするとき!
不動産の値引きは買付けの申込みをするタイミングで行います。
申込みをする際は「買付証明書」を売主に提出します。
買付証明書とは「この条件なら買います」という意思表示をする書面です。
内容としては、物件情報や購入希望価格、支払い方法などが記載され、仲介業によっては、
- 買付証明書を記入してから価格交渉するケース
- 買付証明書を提出する前に価格交渉して、OKだったら申込みするケース
というパターンに分かれます。(買付証明書は契約書ではないので、売主が条件に承諾しなければ法的効力も何もありません)
買付証明書を提出した後の値引きはタブー!
値引きのタイミングとして最悪なのは「買付証明書を提出した後」に言うパターンです。
買付けの申込みは「この条件なら買う」という意思表示をして、売主が承諾したのであれば「売買を行うという約束が成立した」ことになります。
これから不動産という「高額商品の契約を行う」のに約束を守れない人は信用されません。
買付証明書を提出した後の値引きは、一度は売主が申込みを承諾したとしても撤回されることもあるので気を付けましょう。
購入の意思決定の流れとしては、まずは「この物件が本当に欲しいか決めること」です。
その後に価格交渉であって、初めから値引きのことばかり気にしていると失敗します。
値引きのタイミングは「買付申込みをする前」の一発勝負です。
値引き交渉は仲介業者に任せるのが一番!
不動産の値引に関しては「仲介会社の担当者に任せるのが一番」です。
仮に購入者自身が売主に直接交渉できるとしても、
- 売主が値引きに応じる根拠
- 不動産取引における値引き交渉の方法
などが分からなければ上手く値引きも引き出せないでしょうし、しつこく食い下がっても印象が悪くなるだけでしょう。
仲介会社は契約が成立することで手数料が頂けます。
売主買主のどちらか一方が大きく得する(損する)ようなことでは、なかなか契約に至りません。
仲介手数料の値引交渉は、実際のところアリなのか?
スマイスリーは売主から手数料が頂ける新築一戸建ての建売や再生住宅は「仲介手数料0円」です。
では、一般の正規手数料を請求される仲介業者で手数料の値引交渉は許されるのでしょうか?
答えはNOです。
確かに国土交通省が定める仲介手数料は「上限」なので、仲介業者が良ければ0円でも半額でも構いません。
しかし、800円のランチは800円であって「他の店が500円だから500円にしろ」というのは客側の横暴でしょう。
それでも仲介手数料を値切りたいなら「せめて初めにに言うべき」です。
絶対にやってはいけないのが「契約が進んでから値切る」ことです。
先の話であればランチを食べてから値切るような行為ですから、常識的に考えて「どういった業界でもルール違反」ですよね。
法的に交渉可能だったら何でもアリではありません。
値引きよりも「高く売れる」かどうかで考えるべき!?
ちなみに、不動産は値引してくれるかよりも「高く売れる物件かどうか?」を考えるべきだと思います。
購入した時よりも高く売れるマンションも実際にありますが、そこまで行かなくても
- 立地はどうか?
- 売りに出したときに買い手がすぐ見つかりそうか?
そういった基準で考えた方が、何が起こるか分からない人生では安全です。
おわりに
不動産取引は高額ですから、少しでも安く買いたい気持ちは分かります。
しかし、売主は少しでも高く買って貰いたいのです。
そういった相反する考えの中で「折り合いを付ける」ために相場があり、その相場も国が公示する地価などを参考に形成されています。
そこから値引交渉をするにしても、土地なら坪単価1万円、建物なら端数切りが値引きの相場です。
あとは売主が法人であればタイミング次第でしょう。
ただ、どちらにしても常識外れの値引きをすると相手にされなくなるので、とくに欲しい物件の場合は注意しましょう。
以上「不動産の値引きにも相場がある!交渉が可能なラインはズバリここです」でした。
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