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不動産の消費税!課税か非課税か取引のケース毎に詳しく見ていくよ

不動産に関する消費税は、なかなか難しいです。

例えば、賃貸を契約する際に貰う初期費用一覧でも、課税されるものと課税されないものが混合されています。

また、同じ賃料でも住居用と事業用で消費税に対する考え方は変わるので、経験の浅い新人だとうっかりミスしやすい所になります。

おやつ
とくに駐車場に関する消費税は複雑なので注意が必要です。

実際、消費税は私も取引や注意点をノートにまとめて、流れ作業で契約書を作ったりせずに確認するように気を付けています。

というわけで、ここでは「消費税が課税なのか?非課税なのか?」を不動産取引のケース毎に分けて詳しく解説していきましょう。

 

 

不動産売買に関する消費税について

不動産の売買で消費税の注意するポイントをまとめます。

  • 土地…非課税
  • 建物…課税(ただし、個人で所有していた場合は非課税)
  • 固定資産税等清算金…売主が事業者の場合は、建物に相当する割合の金額に課税
  • 仲介手数料…課税

不動産の売買において上記は基本となります。

不動
その他、不動産売買で「?」となりやすいポイントが次になります。

 

中古住宅は売主が個人か事業者かに注意!

不動産売買の仲介業務で中古住宅を扱うことは多いと思いますが、うっかりしていると消費税の計算でミスをします。

とにかく初めに注意することは、売主が個人と事業者のどちらかということです。

売主が個人の場合は非課税ですが、課税事業者であれば建物に相当する金額は課税対象となります。

また、売主が個人だとしても、

  • 事業の前々年の課税売り上げが1,000万円を超えていた場合
  • 前年の1~6月の間の課税売り上げが1,000万円を超え、かつ給料支払額の合計が1,000万円を超えた場合

のどちらかに該当すると、消費税の納税義務が発生します。

あすか
例えば、不動産投資は不動産業(事業)ですから、個人と言えども注意が必要です。

 

売主が事業者の場合は「固定資産税等清算金」にも注意!

実務において固定資産税等の精算は日割り計算されることが一般的です。

計算方法は、固定資産税の納税通知書に記載される年額を、決済日前日までを売主、決済日当日から買主として日割りします。

ですが、税務上は固定資産税等の精算は「譲渡金額の一部」として考えられ、売主が課税事業者の場合に、建物に相当する割合の精算金額に消費税が課税されます。

 

土地に埋まっている地下室は課税!

地下室は土地ではなく「設備の譲渡」と見なされて課税になります。

また、土地に定着している庭石や庭木、石垣などは非課税になります。

 

 

建物の賃貸に関する消費税について

まずは、家賃に関する消費税の注意点をまとめます。

  • 居住用…非課税
  • 事業用…課税
  • 契約期間1ヶ月未満の短期契約…課税
  • 住居兼事務所…面積で按分して、事務所に該当する家賃は課税
  • 社宅…非課税

一人暮らしや同棲で部屋を借りるのは「居住用で非課税」になりますが、ウィークリーなど1ヶ月未満の短期契約の場合は「居住用で契約しても課税」なので注意が必要です。

 

広告に掲載されている家賃に消費税は別途なの!?

一人暮らしや同棲で部屋を借りるのは「居住用」になります。

この場合、家賃が70,000円であれば別途消費税はかかりません。

また、事務所やテナントで募集されて賃料が70,000円であれば消費税込みでしょう。

不動産価格については「不動産の表示に関する公正競争規約施工規則」において消費税も含めての総額表示にすることとなっています。

では、居住用賃貸を事務所可で募集している場合はどうでしょうか?

この場合は、広告に掲載されている賃料は居住用の場合と考え、事務所利用であれば別途消費税を請求されることが一般的です。

 

居住用か事業用かの判断は「契約書」で判断する!?

また、最近は居住用でも「SOHO可」という物件が増えています。

SOHO可の物件は事務所として考えて良いのかというと、答えはNOです。

ひな
おそらく契約書は「住居契約」になっているでしょう。

事務所契約であれば、仕入税額控除で受け取った消費税から支払った消費税を差し引くことが出来ます。

しかし、賃貸借契約書が住居契約であれば、実際に仕事をしている場所だとしても住居としてみなされます。(そのため仕入税額控除は出来ません)

 

また、事務所と違ってsoho可の物件では次のことが出来ません

  • 看板の設置(個人名の併記によって可能な場合もあり)
  • 不特定多数の出入りのある業種での利用
  • 法人登記
居住用賃貸でも付加価値としてsoho可にしている物件も多いですが、事務所とは違うので注意しましょう。
不動

 

居住用賃貸を契約する前に「初期費用明細」を貰います。

そのうち、消費税がかからないのは以下の項目です。

  • 賃料
  • 敷金
  • 礼金
  • 管理費・共益費
  • 更新料・更新手数料

 

  • 仲介手数料
  • ハウスクリーニング費用
  • 鍵交換費用
  • 駐車場代

但し、駐車場代は「入居者全員に1台分以上の駐車場が割り当てられている」「家賃と駐車場代を一括徴収している」場合は、非課税となります。

おやつ
居住用と比べて事業用は何が変わるのでしょうか?

 

  • 敷金
  • 保証金

敷金や保証金は「預かり金」で、退去時に返却されるものになります。

但し、償却分(返金されない)については、消費税の対象になります。

 

  • 賃料
  • 礼金
  • 管理費・共益費
  • 駐車場代
  • 更新料・更新手数料
  • 仲介手数料
おやつ
事業用では、貸主や仲介業者に支払うものは消費税は掛かると考えて問題ありません。

 

 

駐車場(土地)の賃貸に関する消費税はとくに複雑!

土地の賃貸借は原則「非課税」ですが、駐車場の場合は消費税が課税されるケースもあります。

その際に注意するポイントは次の3点です。

  • 駐車場として整備されている
  • 契約期間が1ヶ月未満
  • 車両を管理している

 

整備された駐車場とは?

具体的に整備された駐車場とは

  • 区分けがある(マス目)
  • アスファルト舗装されている

状態を指します。

ちなみにコインパーキングの場合は、上記の整備を地主と業者のどちらが行なったかで課税区分は変わります。

あすか
整備した方が業者であれば非課税ですが、地主が整備していたら課税になります。

 

また「砂利が敷かれているだけ」や「更地をフェンスで囲っているだけ」の土地を駐車場にしても消費税は課税されません。

同じように更地を「資材置き場」として賃貸しても非課税です。

ただし、上記のような更地でも1ヶ月未満の短期貸しする場合は課税対象となるので注意が必要です。
ひな

 

定期借地の地代に消費税は掛かるのか?

関東など地価の高いエリアでは定期借地権の土地に住宅を建てるケースも多々ありますが、こういった土地の賃借に関する地代や権利金に関して消費税は掛かりません。

これは事業用借地でも同様に非課税です。

さらに、地上権、地役権、永小作権などの土地の使用収益に関する権利(例えば、敷地内に電柱があり電力会社から貰う使用料)も非課税となります。

 

 

インボイスの対応方法について

2023年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式として、インボイス制度が導入されます。

インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことを指しますが、不動産を活用して収入を得ている地主さんや不動産投資家の方は注意が必要です。

詳しくは税理士に相談して頂くとして、ここでは不動産から収入がある際にインボイス制度の対応が必要なケースをまとめておきます。

貸主 借主 インボイスの対応
居住用の賃料収入のみ 消費税は非課税 -- 対応の必要なし
事業用の賃料収入あり 免税事業者 免税事業者 対応の必要なし
事業用の賃料収入あり 免税事業者 課税事業者 対応を検討
事業用の賃料収入あり 課税事業者 -- インボイス発行事業者の登録が必要

 

おわりに

ここでは「不動産の消費税」に関する内容をまとめました。

一般の方はもちろんですが、私が不動産業界に転職して消費税で「え?」となったポイントもお伝えしています。

これから不動産業界で働く新人さんは、流れ作業で契約書を作ったりせずに、その都度

  • 個人か事業者か?
  • 居住用か事業用か?
  • 短期契約ではないか?

などを確認する癖を付けて貰いたいなと思います。

おやつ
「土地が非課税で建物が課税」という基本だけしか頭にないと絶対にミスするので注意しましょう!

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