不動産の売却査定を依頼したら「1,000万円ほど差があった」という話を聞くことがあります。
しかし、いざ話を聞いてみると「仲介と買取をごちゃ混ぜに考えていた」というケースも少なくありません。
車の買取と不動産を一緒だと思い込んでいる人に多いですね。
不動産取引の仲介(媒介)は、分かっているようで理解されていないということがよくあります。
せっかくの不動産売却であれば絶対に失敗したくないでしょうし、ここはしっかりと読み進めていきましょう。
「仲介」と「買取」の違いとは?
お客さんの中には、土地や建物は、必ず不動産屋が買うものと思っている方がいます。
それだけ、不動産の取引は馴染みが少ないものなのです。
私たち不動産業者は、土地や建物を買い取ったり、または仲介したりします。
この「仲介」と「買取」に関しての違いを理解しておきましょう。
不動産の仲介とは?
不動産の仲介とは、売主と買主の間に入って仲介をすることです。
例えば、価格の値引き交渉や、その他の条件提示を相手方に行います。
実は、不動産取引は、仲介業者が入らなくても取引をすることが可能です。
その場合、個人間売買となるので仲介手数料が必要ありません。
不動産の取引では、高額な取引になるケースが多く、また権利関係や法令制限が複雑でトラブルが起きる可能性が高いです。
例えば、土地を引き渡したが、建物が建てられないと買主から訴訟を起こされた。
戸建を買ったが雨漏りがすごくて住んでいられないから、お金を返して!など、様々なトラブルが起こることがあります。
そのようなトラブルが起こらないよう、物件の調査を行い、売主と買主の間に入って取引を円滑に行うことが私たちの仕事である仲介です。
不動産の買取とは?
不動産業者は仲介の他に「買取」を行っております。
こちらは字のごとく、売主から直接不動産を買い取ることです。
そのため間に入る仲介業者がいないので、仲介手数料を支払う必要がありません。
物件に関する調査は買取を行う不動産業者(プロ)が行いますので、後から建物が建てられないというようなトラブルは起きません。
不動産売却時「仲介」と「買取」で査定価格が大きく変わる!?
まず仲介と買取の注意点は「誰にどのように売るのか」が違ってきます。
とくに注意すべきなのは、
- 高く売りたいのか?
- ご近所の方に知られずに早く売りたいのか?
を、どちらも満たすことは難しいという点です。
仲介のメリットとデメリット
仲介は、仲介業者を通じて一般に幅広く購入者を募ることになります。
メリットは、市場価格(または希望する価格)で販売することが出来ます。
しかし、売却できるまでに時間が掛かるというデメリットがあります。
また、売却価格から諸費用(各税金や仲介手数料など)を差し引いた金額が手取りになるので注意して下さい。
買取のメリットとデメリット
買取は、不動産会社(建築会社や再販業者など色々ある)が直接買い取りをすることになります。
メリットはすぐに現金化できるということですが、逆に売却金額は「相場の5割から高くても7割程度」と思っておいた方がいいでしょう。
これは何故かというと「買取を行う不動産会社もビジネスですので利益を上げる」ということもありますが、なによりも「万が一再販の際に売れなかった場合のリスク」を背負っているからです。
また、売却理由によっては不動産を売ることを周りに知られたくないということもあると思います。
仲介では一般の購入者を募るので広告活動を行なうことになりますが、業者に直接買い取っても貰うならご近所に知られずに販売活動を進めることもメリットの一つでしょう。
買取業者を仲介して貰うこともある!?
実際には、買取業者を仲介して貰うというケースもあります。
買取業者に直接売れば「仲介手数料が発生しない」ので損なように思えますが、必ずしもそうとは言えません。
というのも、買取業者は安く買いたいわけですから、もしかしたら買い叩かれるかもしれません。
仲介と買取のどちらを選ぶかは「事情」による!?
不動産の売却を検討する際は、必ず事情があります。
- 相続で不動産を引き継いだけど管理できないから売りたい
- 家の買い換えをしたい
- 離婚するから家を早く売却してしまいたい …etc
とくにポイントになるのは「時間」で、時間に余裕があるなら仲介で、単純に急いで売りたいなら買取になるでしょう。
また、土地が大きい場合も「買取」になります。
やはり土地を買うのは住宅用地として買いたい人が多いので、200坪もある大きな土地は分筆して4区画(50坪に分ける)ことになります。
買取業者にも種類があります!
不動産の買取業者にも様々な業者がいます。
買取を希望される方であれば、どのような業者がいるかを覚えておきましょう。
地元の不動産業者
地元の不動産業者が、買取を行ってくれることもあります。
会社によっても違いますが、結構安い値段での買取になってくると思います。
建物の建築(建売や建築条件を付けるような場合)を行っているような業者であれば、まだ良いかも知れませんが、土地を買い取って再販時に土地で売るような業者の場合、土地のみで利益を取らなければならないので、当然に買取額も下がるでしょう。
パワービルダー(大手建売業者)
土地の買取の際、かなりの確率で遭遇する業者です。
建売業者さんたちは、土地を買った建物を建てて売却する事が仕事です。
その為、土地を買わなければ仕事にならないので、少し無理しても買い取ってくれます。
マンション・戸建の再販業者(リノベーション)
マンションや戸建ての買取業者もいます。
こちらは、既存のマンションや、戸建を買取りリフォームをして再販する業者になります。
この買取業者が買取の際、気にしてくることは建物の築年数が昭和56年6月1日以降かどうかです。
昭和56年6月1日に建築基準法の耐震基準が変わったため、それより以前に建てられた建物は、買取できないと言ってくる傾向があります。
高低差がある土地や、大規模な土地を買い取る業者
前に列記した、パワービルダー(建売業者)は、どちらかというと、1棟~5棟、多くても10棟ほどが建てられる土地を好みます。
これは、何故かというと、これ以上大きな土地になってくると、土地の開発許可が必要になることがある為です。
この開発許可というものは、申請から許可まで時間がかかる事と、申請費用が掛かる為、パワービルダー(建売業者)があまり好みません。
そのような、大規模な土地や、高低差があり擁壁を設置しなければならないような土地を専門に買い取る業者があります。
但し、買い取りの検討をする場合、盛土切土、擁壁設置などにかかる費用算出、土地の区画案の作成、行政とのやりとり等様々なことを行ったあとでなければ、買取金額が出てきませんので、売却まで少し時間がかかります。
事故物件・訳アリ物件の買取業者
建物の中で自殺した物件や火災があった物件など、様々な訳アリ物件を専門に買い取る業者があります。
そのような物件の場合「売主自体が売却に関して世間に知られたくない」というケースが多い為、買取業者に依頼することも良いかも知れません。
ただ、事故物件は相場より金額が大幅に安いです。
しかし、だからこそ事故物件や訳アリ物件をわざわざ探している方もいますし、他にも外国の方も事故物件など気にしない事が多いです。
仲介と買取以外にも不動産を現金化する方法はある!?
ここまで不動産売却の基本となる仲介と買取についてお伝えしてきました。
しかし、不動産を現金化させる方法は売却するだけではありません。
ここでは不動産を現金化させる、その他の方法を2つご紹介します。
不動産を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」
リバースモゲージとは、自宅を担保に融資を受けるシニア向けの貸付制度で「銀行や自治体など」で取り扱われています。
特徴として「担保による一括返済を前提にしている」ので、毎月の返済をすることなく融資を受け続けることが出来るということでしょう。
売却した後に賃貸借契約をする「リースバック」
リースバックとは、一旦不動産を売却した後に賃貸借契約を締結することで「売却後も自宅に住み続けることが出来る」仕組みになっています。
また、多くのリースバック契約では「買い戻し可能」となっているのも特徴の1つです。
ただし、契約内容が複雑になるので「業者の説明を鵜呑みにせずに納得出来るまで調べる」ようにし気を付けて下さい。
まとめ
さいごに記事のおさらいをします。
- 不動産売却には仲介と買取の2つがある
- 仲介は「買い手を探して貰う」こと
- 時間は掛かって高く売りたいなら「仲介」
- 人に知られず早く売りたいなら「買取」
ネットの不動産一括査定では「買取」と記載されていても、登録している業者は「仲介業者」だったりします。
ちなみに「不動産を買う時」も用語には気を付けて下さいね。
以上「不動産売却は買取と仲介で違います!高く売るならどっちを選ぶべき?」でした。
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